「エリクソンの発達課題って、大人になってからでもやり直せるの？」そんな疑問を持ったことはありませんか？
- 子どもの頃に十分な信頼を築けなかった気がする
- 青年期に「「自分のやりたいことや価値観」」が分からないまま大人になった
- 今も人間関係やキャリアに不安が残っている
実は心理学者エリクソンが示した**発達課題（人生の各段階で直面しやすい心のテーマ）は、「一度きりの試験」ではなく、大人になってからでもやり直せるものなんです。
この記事では、心理学者エリクソンが示した8つの発達課題をもとに、大人になってから課題を見直すメリットや、再チャレンジ方法をわかりやすく整理しました。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
エリクソンの発達課題は「やり直せる」のか？基本的な考え方
エリクソンの発達課題とは、人の一生を8つの段階に分け、それぞれに直面しやすい心理的なテーマを示したものです。
ただし、これは「その年齢で必ず解決しなければならない壁」ではありません。「その時期に出やすい課題」だと理解すると良いでしょう。
発達課題は「年齢ごとに直面しやすいテーマ」にすぎない
乳児期の「信頼 vs 不信」や、青年期の「同一性 vs 拡散」といったテーマは、それぞれの時期に起こりやすい心の課題を表しています。
しかし、これはその年齢だけに限定されるものではなく、大人になってからも繰り返し現れる心理的テーマです。
例：青年期に「アイデンティティ」に悩んでいた人が、40代でキャリアチェンジを考えるときに再び同じテーマに直面することがあります。
一度失敗しても再び挑戦できる理由
人の心は固定されたものではなく、経験や環境の変化によって柔軟に成長できるからです。
信頼関係を築けなかった過去があっても、現在の人間関係で「信頼できる相手」と関わることで回復が可能です。
つまり発達課題は「やり直しが効かないもの」ではなく、人生の中で何度も取り組めるテーマなのです。
「人生に一度きりの試験」ではないと考える安心感
「その時期に失敗したからもう取り返しがつかない」と思うと、人は無力感や諦めを感じやすくなります。
しかし、エリクソンの理論は「人は一生を通じて発達し続ける存在」であることを前提としています。
発達課題は人によっては繰り返し現れることもありますし、逆に時間が経つうちに重要ではなくなることもあります。たとえば、仕事や人間関係が充実してくれば、かつて強く悩んでいた自分のアイデンティティの問題が気にならなくなることもあるでしょう。
大切なのは『必要だと感じたときに、やり直せる』と知っておくことです。
大人になってから課題をやり直すメリット
「発達課題をやり直す」と聞くと、少し重たく感じるかもしれません。
しかし実際には、大人になってから再チャレンジすることで得られる大きなメリットがあります。
自己理解が深まり、過去の後悔を整理できる
大人になってから過去の課題に向き合うことで、「なぜあの時うまくいかなかったのか」を冷静に振り返ることができます。
例えば、子どもの頃に十分に褒められなかった経験を大人になってから理解することで、「自分の価値は他人の評価だけでは決まらない」と気づけます。
こうした自己理解は、過去の後悔やモヤモヤを整理する力になります。
人間関係やキャリアの選択にポジティブな影響
発達課題をやり直すと、自分の考え方や行動パターンが変わります。
たとえば「信頼」を築き直すことで、職場や家庭での人間関係が改善されやすくなります。
また「アイデンティティ」を再構築できれば、キャリア選択や人生の方向性に自信が持てるようになります。
老年期の「自我統合」につながる
エリクソンの理論では、最終段階に「自我統合 vs 絶望」という課題があります。
人生を振り返ったときに「やり直せた経験」があると、「自分の人生も悪くなかった」と肯定しやすくなります。
つまり、大人になってからの再チャレンジは、老後に後悔しないための心の準備にもなるのです。
やり直しが必要だと感じるサイン
発達課題は「何度でも取り組めるテーマ」ですが、ではどんなときに「やり直したほうがいい」と気づけるのでしょうか。
ここでは、大人になってから課題を再確認すべきサインを紹介します。
同じ問題や不安が繰り返し出てくる
人間関係や仕事で、似たような失敗や不安が何度も出てくる場合は、過去の課題が解決しきれていないサインかもしれません。
例：信頼できる相手と出会っても疑い続けてしまう／新しい挑戦のたびに「自分には無理だ」と思ってしまう。
このように繰り返されるパターンは、過去の課題に立ち戻るきっかけになります。
「自分は何者か」と悩み続けている
青年期のテーマであるアイデンティティの確立が不十分な場合、大人になっても「自分は何をしたいのか」「どう生きたいのか」と迷い続けやすいです。
進路やキャリアの選択だけでなく、結婚・家庭・ライフスタイルの場面で繰り返し浮かび上がる悩みです。
「自分探し」がずっと終わらない感覚があるなら、やり直しのサインといえます。
人間関係で信頼や親密さを築くのが難しい
恋人やパートナー、友人との関係で深い信頼や親密さを築けないと感じるときも、過去の課題が影響していることがあります。
幼児期や青年期に十分な信頼関係を経験できなかった場合、大人になっても「距離を縮めるのが怖い」という形で現れることがあります。
これは「親密性 vs 孤立」の課題に再挑戦すべきサインと考えられます。
エリクソンの各段階ごとの「やり直し方法」
発達課題は、子どものころに一度失敗してしまっても、大人になってから再チャレンジできるテーマです。ここでは代表的な4つの段階を取り上げ、それぞれをやり直すための方法を簡単に紹介します。
乳児期（基本的信頼 vs 不信）を取り戻す方法
- 方法のポイント：まず「安心できる関係」を少しずつ作ること。
- 信頼できる人との小さな約束を守り合う、安心できる環境で過ごすなど、日常の中で「信頼しても大丈夫」という感覚を積み重ねる。
- 例：友人との待ち合わせを守る・相談したらきちんと応えてもらえた、などの体験を大切にする。
青年期（同一性 vs 拡散）を再構築する方法
- 方法のポイント：「自分は何者か」を改めて考える。
- 過去の経験を書き出す、価値観リストを作る、得意なこと・大事にしたいことを整理する。
- 例：キャリアチェンジやライフスタイルの見直しは、アイデンティティを再構築する絶好の機会。
成人期中期（生産性 vs 停滞）を取り戻す方法
- 方法のポイント：「自分が社会や次世代に貢献できること」を見つける。
- 子育てや仕事に限らず、趣味・ボランティア・後輩指導なども対象になる。
- 例：誰かに知識やスキルを伝えることは、生産性を取り戻すシンプルな方法。
老年期（自我統合 vs 絶望）を見直す方法
- 方法のポイント：「過去を学びとして受け止める」視点を持つ。
- 失敗を後悔ではなく「自分を成長させた経験」と考えるリフレーミングを行う。
- 例：日記を書いて「よかったこと・学んだこと」を振り返ることで、自分の人生に納得感を持ちやすくなる。
やり直しを成功させるためのポイント
発達課題は「気づいたときが再チャレンジのチャンス」です。
ただし、やり直しを実際の生活に活かすには、いくつかのコツがあります。ここでは代表的な2つのポイントを紹介します。
①小さな行動から始める（信頼・挑戦・関係づくり）
いきなり大きな変化を目指すと挫折しやすいので、小さな一歩から始めるのがコツです。
例：信頼を取り戻したいなら「小さな約束を守る」ことから。挑戦をやり直したいなら「毎日10分新しいことを試す」など。
小さな成功体験が積み重なることで、徐々に自信が回復していきます。
②自己受容を土台にする
過去に課題をうまく乗り越えられなかった自分を「ダメ」と否定せず、その経験も自分の一部として受け止めることが大切です。
「できなかったからこそ、今やり直す意味がある」と考えると、挑戦が前向きになります。
自己受容は、再チャレンジを長く続けるためのエネルギー源です。
まとめ｜発達課題はやり直し可能。大人からでも再チャレンジできる
エリクソンの発達課題は、「その時期に一度きりで解決しなければならない壁」ではなく、人生の中で何度でも取り組めるテーマです。ここで改めて記事のポイントを整理しましょう。
「やり直せる」と知ることが第一歩
- 発達課題は一度失敗しても、後から再挑戦できます。
- その事実を知るだけで、「もう手遅れでは？」という不安が軽くなり、心が前向きになります。
今からできる小さな一歩を意識する
- やり直しは大きな決断からではなく、日常の小さな行動から始まります。
- 信頼関係を築きたいなら「約束を守る」、アイデンティティを確立したいなら「自分の価値観を書き出す」など、シンプルな行動が効果的です。
👉 結論：エリクソンの発達課題は、大人になってからでも十分にやり直せます。
「失敗したから終わり」ではなく、「今から取り戻せる」と考えることが、これからの人生を豊かにする第一歩です。
