「物語を書いてみたいけど、何から考えればいいのか分からない」
そんなモヤモヤ、ありませんか?
・三幕構成やヒーローズジャーニーって名前は聞くけど違いが分からない
・感覚で書いてみたものの、途中で話が迷子になる
・面白くしたいのに、どこを直せばいいか分からない
――実はこれ、センス不足ではなく「型」を知らないだけかもしれません。
この記事では、物語の作り方でよく使われる有名ストーリー理論を、初心者向けにやさしく整理します。
三幕構成(物語を3つの流れで考える型)や、ヒーローズジャーニー(主人公の成長を描く型)、ビートシート(感情の山と谷を設計する型)などを、「何が違って、どう使えばいいのか」まで分かりやすく解説。
さらに、理論を実際に身につける練習法や、つまずきやすい疑問にも触れていきます。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
そもそも「物語の作り方」とは?

「物語の作り方」と聞くと、
面白い出来事をたくさん考えることだと思われるかもしれません。
ですが、物語づくりで本当に考えるべきなのは、
出来事そのものではなく、そこにある“変化”です。
物語は「出来事」ではなく「変化」でできている
初心者がよくやりがちなのが、
「事件が起きる → また事件が起きる → クライマックス」
という出来事の羅列です。
でも、読み手が惹きつけられるのは、
- 主人公が
- 何に悩み
- どんな選択をし
- どう変わったのか
という人の変化の流れです。
たとえば――
- ✕ 面白くない例
- 強敵が現れた
- 戦った
- 勝った
- ○ 物語になる例
- 自信のなかった主人公が
- 失敗と葛藤を経験し
- 覚悟を決めて戦い
- 別人のように成長する
物語とは、
「人が変わるプロセスを追体験させるもの」
だと考えると分かりやすくなります。
なぜ感情が動く物語と、退屈な物語が生まれるのか
感情が動くかどうかの違いは、とてもシンプルです。
- 感情が動く物語
→ 変化がはっきり描かれている - 退屈な物語
→ 出来事は多いが、変化が見えない
たとえば同じ「勝利」でも、
- 最初から強い主人公が勝つ
- 弱さや欠点を抱えた主人公が、乗り越えて勝つ
では、後者のほうが圧倒的に感情が動きます。
これは
読者が「自分も変われるかもしれない」と重ねられる
からです。
物語は、
読者の感情を動かす装置
だと考えると理解しやすくなります。
物語構成の有名理論を理解するメリット

前の章で見たとおり、
物語で大切なのは 出来事そのものではなく「変化」 です。
では、その変化をどう設計すればいいのでしょうか。
そこで役立つのが
物語構成の有名理論 です。
プロの創作者が理論を学ぶ本当の目的
プロの作家や脚本家が理論を学ぶのは以下のような理由があるからです。
- 毎回ゼロから悩まないため
- 感情が動く流れを再現可能にするため
- 編集者・読者に「伝わる形」にするため
- 失敗の原因を修正できるようにする
理論を知らないと起こりやすい失敗パターン
物語理論を知らずに書くと、
初心者はだいたい次の壁にぶつかります。
- 書き始めたが、途中で話が広がりすぎる
- 盛り上げたいのに、どこが山場か分からない
- 終わらせ方が分からず、無理やり締める
これは才能不足ではありません。
「構造を意識していない」だけです。
たとえば地図なしで旅行すると、
- 今どこにいるか分からない
- 目的地までの距離も分からない
状態になりますよね。
物語理論は、
物語全体を俯瞰する地図の役割を果たします。
「自由に書く」と「構造を知る」の違い
よくある誤解が、
理論を学ぶと、自由に書けなくなるのでは?
という不安です。
ですが、実際は逆です。
- 構造を知らない自由
→ 迷いやすく、途中で止まる - 構造を知った上での自由
→ どこを崩しても戻れる
これは音楽や絵とも同じで、
- 基礎を知らずに即興するより
- 基礎を知った上で崩すほうが
圧倒的に自由度が高くなります。
物語の作り方でよく使われる有名ストーリー理論一覧

物語理論はたくさんありますが、
実際にプロの現場で使われ続けている有名理論をご紹介します。
①三幕構成とは?最も基本となる物語構造
三幕構成(Three-Act Structure) は、
最も基本で、最も広く使われている物語構造です。
物語を次の3つに分けて考えます。
- 第1幕(始まり)
世界観・主人公・問題の提示 - 第2幕(中盤)
葛藤・試練・対立の拡大 - 第3幕(終わり)
クライマックスと解決
ポイントは、
「第2幕が物語の大部分を占める」こと。
三幕構成は、
物語全体の骨組みを作るための型
だと考えると分かりやすいでしょう。
②ヒーローズジャーニーとは?成長物語の王道理論
ヒーローズジャーニー(Hero’s Journey) は、
主人公の「成長」にフォーカスした物語理論です。
基本の流れはシンプルです。
- 日常の世界にいる主人公が
- 冒険に呼び出され
- 試練を乗り越え
- 変化して戻ってくる
この構造は、
- 神話
- ファンタジー
- 冒険譚
- 成長物語
で特に強く機能します。
重要なのは、
外の冒険=内面の変化
が必ずセットになっている点です。
「敵を倒した」よりも、
「何を乗り越えたのか」
に焦点を当てる理論だと言えます。

③Save the Cat(ビートシート)とは?感情設計のフレーム
Save the Cat!(ビートシート) は、
物語を 約15個の感情の節目(ビート) に分解する方法です。
たとえば、
- 物語が動き出す瞬間
- 中盤の大きな転換点
- 「すべてを失った」と感じる瞬間
などが、あらかじめ想定されています。
三幕構成が
「大きな構造」
だとしたら、
ビートシートは
「感情の細かい設計図」です。
映画やドラマのように、
観客を飽きさせないテンポ
を作りたい場合に特に向いています。
④ストーリーサークルとは?三幕構成をシンプルにした考え方
ストーリーサークル(Story Circle) は、
三幕構成やヒーローズジャーニーを
8つのステップに整理したシンプルなモデルです。
特徴は、
- 欲求が生まれる
- 行動する
- 代償を払う
- 変化して戻る
という流れを、
円(サークル)で視覚化していること。
そのため、
- 短編
- エピソードもの
- ブログ記事のストーリー構成
にも応用しやすい理論です。
「長い理論は苦手」という人にとって、
入り口として非常に使いやすい型です。
その他によく知られている物語構成理論
上記ほど有名ではないものの、
補助的に使われる理論もあります。
- フライタークの三角形
感情の盛り上がりを山型で捉える古典理論 - キャラクターアーク理論
主人公がどう変化したかに注目する考え方 - セットアップ&ペイオフ
前半の伏線を後半で回収する原則
これらは
三幕構成やビートシートを補強する部品
として使われることが多いです。
三幕構成・ヒーローズジャーニー・ビートシートの違い

前の章で、
有名なストーリー理論を一通り見てきました。
この章では、
それぞれの理論の役割の違いを整理します。
それぞれが得意とする物語ジャンル
まずは、
「何に使うと強いのか」 から見てみましょう。
| 理論 | 得意なジャンル・用途 |
|---|---|
| 三幕構成 | ほぼすべての物語(基礎構造) |
| ヒーローズジャーニー | 成長物語・冒険・ファンタジー |
| ビートシート | 映画・ドラマ・娯楽性の高い作品 |
ポイントは、
役割が違うだけで、対立していないことです。
- 三幕構成:物語の「骨組み」
- ヒーローズジャーニー:主人公の「成長の流れ」
- ビートシート:観客の「感情の上下」
と考えると、
それぞれの立ち位置が分かりやすくなります。
同じ物語を別理論で見るとどう変わるか
たとえば、同じ物語でも
理論を変えると見え方が変わります。
- 三幕構成で見る
→ どこが始まりで、どこが山場か - ヒーローズジャーニーで見る
→ 主人公は何を乗り越え、どう成長したか - ビートシートで見る
→ どこで観客の感情が上がり、どこで落ちたか
物語そのものは同じでも、
切り取る視点が違うだけなのです。
そのためプロは、
一つの物語を、
複数の理論でチェックする
ということを普通にやります。
初心者が混乱しやすいポイント
初心者がよく混乱するのは、
- 「どれが正解なのか」を探してしまう
- 理論同士を無理に統一しようとする
という点です。
ですが、
物語理論に唯一の正解はありません。
大切なのは、
- 今、自分は
- 全体構造を考えたいのか
- 成長を描きたいのか
- テンポを良くしたいのか
を意識すること。
つまり、
目的に応じて理論を使い分ける
これが一番のコツです。
複数の理論をどう組み合わせればいいか

慣れてきたら、
理論は 足し算ではなく役割分担 で使います。
おすすめの考え方は次の通りです。
- 三幕構成
→ 物語全体の骨組みを作る - ヒーローズジャーニー
→ 主人公の成長や内面変化を描く - ビートシート
→ 読者・観客の感情の山と谷を設計する
このように、
一つの物語に、複数の理論を重ねて使う
のがプロのやり方です。
「理論を混ぜると混乱する」のではなく、
目的ごとに役割を分けると、むしろ整理しやすくなります。
有名ストーリー理論を身につけるための基本的な訓練法

この章では、
初心者でも今日からできる
有名ストーリー理論を“使える知識”に変える訓練法
を紹介します。
「一文で要約 → 構造に分解」する練習法
最も基本で、
プロの脚本家も日常的にやっている訓練がこれです。
手順はとてもシンプル。
STEP1:一文で要約する
- 見た映画・読んだ物語を
「一文」でまとめる - 主人公・目的・結末が入っていればOK
例
冴えない主人公が困難を乗り越え、自分を受け入れる物語
STEP2:構造に分解する
- その一文をもとに
三幕構成・ビートシート・ヒーローズジャーニー
に当てはめる
ここで大切なのは、
正解を出そうとしないこと。
「自分ならこう見る」という
構造の取り方そのものが訓練になります。
ポイントは、上手くまとめようとしないこと。
「この映画を自分はこう捉えた」という主観的な切り取りが大切です。
この練習を続けていると、
映画や物語を見たときに
「これはどんな話だったのか」
と、自然に構造で考える癖がついてきます。
一文要約 → 構造分解。
たったこれだけですが、
物語の構造を理解する力と、作る力の両方を同時に鍛えられる
トレーニングです。
ちなみにこのやり方は、
藤本タツキの漫画『さよなら絵梨』で紹介されているやり方です。
藤本タツキは『チェンソーマン』の作者です。
『さよなら絵梨』のP62で、創作のトレーニングとして
- 「昨日見た映画を5つ、それぞれ一言で説明できるようにする」
- 次に、その物語を起承転結に分けて説明してみる。
という練習方法が語られています。
まずは、見た映画を一文で要約する。
次に、その物語を起承転結に分けて説明してみる。
それだけです。
まとめ|有名ストーリー理論は「道具」として使う

物語理論を学ぶことで得られる最大のメリット
物語理論を学ぶ最大のメリットは、
「再現性」が手に入ることです。
- なんとなく書く → たまたま上手くいく
- 理論を知る → 何度でも同じ質を狙える
これは、趣味でも仕事でも大きな違いです。
特に初心者にとっては、
- 書き始められない
- 途中で迷子になる
- 終わらせられない
といった悩みを、
一気に減らしてくれる効果があります。
理論を覚えるより大切な視点
重要なのは、
物語を「構造」で見る視点を持つこと
この視点さえ身につけば、
どんな物語からも学べるようになります。
