「ストレスが多くて心が折れそう…」「失敗すると立ち直るのに時間がかかる」「変化に対応できず不安になる」――こんなモヤモヤを感じていませんか?
心理学では、こうした状況を乗り越える力をレジリエンス(=折れない心、回復力)と呼びます。
この記事では、レジリエンスの基本的な意味から、心理学で提唱された有名な理論(ハーディネス理論や保護因子モデルなど)、さらに日常で使える実践的な方法まで分かりやすく解説します。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
レジリエンスとは何か|心理学における基本的な定義
「レジリエンス」という言葉は、もともと物理学で「弾力」や「元に戻る力」を意味します。例えば、しなやかな竹は強風にしなるけれど折れずに立ち直りますよね。このイメージが心理学にも応用されて、「心の回復力」や「折れない心」を表す概念として使われています。
レジリエンスの意味は「回復力」や「しなやかな強さ」
レジリエンスは単なる「我慢」や「根性」とは違います。
- 困難に直面しても立ち直る力
- 柔軟に対応して乗り越える力
- 逆境を成長のきっかけに変える力
こうした「しなやかで強い心の力」を指します。
心理学での定義:逆境から立ち直る力
心理学では、レジリエンスは「逆境・ストレス・トラウマに直面したときに、心理的に回復し、時には以前より成長する力」と定義されます。
つまり「ストレスがない人が強い」のではなく、「ストレスがあっても対応できる人が強い」と考えます。
ビジネス・教育・医療など幅広く使われる理由
レジリエンスの考え方は心理学にとどまらず、さまざまな分野で注目されています。
- ビジネス:変化の多い時代に適応できる社員やリーダー像
- 教育:失敗を恐れず挑戦する子どもを育てるための教育方針
- 医療・看護:病気やケガを抱えながらも前向きに生きる力の支援
このように、レジリエンスは「誰もが必要とする心の基盤」として理解されているのです。
レジリエンスを説明する有名な心理学理論・モデル

レジリエンスはただの「根性」ではなく、心理学的にさまざまな理論やモデルで説明されています。ここでは代表的なものを紹介します。
ハーディネス理論:3つの要素「コミットメント・コントロール・チャレンジ」
ハーディネス理論では、ストレスに強い人の特徴として以下の3つの要素が挙げられています。
- コミットメント:物事に関わり続ける姿勢(投げ出さない)
- コントロール:自分の力で工夫して状況を変えられるという感覚
- チャレンジ:困難を「ピンチ」ではなく「チャンス」と捉える態度
例えば、仕事でトラブルがあっても「自分なりに解決策を考える(コントロール)」「この経験から学べる(チャレンジ)」と思える人は、ストレスに強いのです。

保護因子モデル:支えや環境が強さをつくる
レジリエンスは本人の性格だけで決まるわけではありません。家族・友人・職場の理解など「保護因子」と呼ばれる支えがあると、人は逆境から回復しやすくなります。
例:失敗しても「大丈夫、応援してるよ」と声をかけてくれる人がいるだけで立ち直りは早くなります。
拡張形成理論(Broaden-and-Build理論):ポジティブ感情がレジリエンスを育む
ポジティブ心理学者バーバラ・フレドリクソンは、「喜びや感謝などの前向きな感情が人の視野を広げ(broaden)、新しい資源を築く(build)」と説明しました。
つまり「楽しい気分」「人に感謝する気持ち」がレジリエンスを底上げするのです。
資源保存理論(Hobfoll):人は資源を守ることでストレスに耐える
社会心理学者ホブフォールは、人が持つ資源(時間・お金・健康・人間関係など)を守ろうとする力がレジリエンスの基盤だとしました。
資源が失われすぎるとストレスが増えるため、日常で「休息時間」「趣味」「人とのつながり」を確保することが重要です。

成長マインドセット(ドゥエック):失敗を学びに変える心構え
心理学者キャロル・ドゥエックは、能力を「固定的」ではなく「成長できるもの」と考える人はレジリエンスが高いと指摘しました。
例えば「私は勉強が苦手だからダメ」ではなく「努力すれば少しずつ伸びる」と考える人の方が、困難を乗り越えやすいのです。

レジリエンスを高めるための実践的な方法

レジリエンスは「生まれつきの性格」ではなく、日常の習慣や考え方で誰でも鍛えることができるスキルです。ここでは初心者にも取り入れやすい方法を紹介します。
リフレーミング:出来事を別の角度で捉える練習
リフレーミングとは、同じ出来事を別の視点から見直す方法です。
- 「失敗した」→「学びを得た」
- 「批判された」→「改善のヒントをもらった」
考え方を切り替えることで、心のダメージを軽減し前向きになれます。

小さな成功体験を積み重ねる
レジリエンスの基盤には「自分はできる」という感覚(自己効力感)があります。
- 毎日5分の運動を続ける
- 小さなタスクを終えたら自分を褒める
- 無理のない目標を立てて達成する
こうした小さな積み重ねが、大きな逆境に立ち向かう力につながります。

マインドフルネスや日記による感情整理
マインドフルネス(今ここに集中する練習)や日記は、心の整理整頓に役立ちます。
- 呼吸に意識を向ける
- 今日の出来事を3行だけ書く
- 感情を客観的に言葉にする
こうすることで、不安や怒りに振り回されず落ち着いて状況を見つめ直せます。

社会的サポートを活用する(家族・友人・同僚)
レジリエンスは一人で作るものではありません。人とのつながりが大きな支えになります。
- 悩みを信頼できる人に話す
- 同じ経験をした仲間と交流する
- 職場や学校の相談窓口を利用する
「支えてくれる人がいる」という実感が、心の回復を後押しします。
まとめ|心理学から学ぶ「折れない心」の育て方
レジリエンスは、日常生活や仕事、そして人生のあらゆる場面で役立つ「心の筋力」のようなものです。心理学の研究から学べるポイントを振り返りましょう。
レジリエンスは生まれつきではなく育てられる力
「折れない心」は特別な才能ではなく、考え方・習慣・環境によって誰でも伸ばすことができます。
小さな成功体験や支えてくれる人とのつながりが、レジリエンスを少しずつ強めてくれます。
理論+実践で日常に活かせる
ハーディネス理論や保護因子モデルなどの心理学理論は、ただ知識として学ぶだけではなく、実生活に応用することで初めて意味を持ちます。
- 出来事をリフレーミングしてポジティブに捉える
- マインドフルネスや日記で感情を整理する
- 周囲の人のサポートを素直に受け入れる
こうした実践が、理論を「自分の力」に変えるカギです。
次に学ぶなら「ストレスコーピング」や「ポジティブ心理学」へ
レジリエンスをさらに深く理解したい人は、関連する心理学理論にも触れると役立ちます。
- ストレスコーピング:ストレスにどう対処するかを整理した心理学の枠組み
- ポジティブ心理学:感謝・希望・強みを活かして幸福度を高める研究分野
これらはレジリエンスの実践を補強し、より豊かな人生を築くためのヒントになります。


