パレートの法則とは？意味・背景・具体例・活用方法を解説

2025年12月11日

「がんばっているのに成果が伸びない…」「時間をかけているのに結果がついてこない…」
そんなモヤモヤを感じたことはありませんか？

実はその原因、努力の方向が“ほんの少しズレている”だけかもしれません。
なぜなら、結果の大部分はごく少数の要因が生み出すという偏りが起きるからです。これが有名な パレートの法則（80：20の法則） です。

この記事では、

パレートの法則の意味と成り立ち
ビジネスで起きる“偏り”の具体例
最小の労力で最大の成果を出す活用方法
今日からできる「重要な20％の見つけ方」
を、初心者にもわかりやすく解説します。

「もっと効率よく成果を出したい」「やるべきことを絞りたい」という人に、役立つ内容です。
ぜひ最後まで読んでくださいね。

パレートの法則とは？初心者向けに意味をわかりやすく解説

パレートの法則は、「全体の結果の大部分は、ごく一部の要因から生まれている」という原則です。
よく 80：20の法則（エイティ・トゥエンティ） と呼ばれ、
「重要な20％が、成果の80％を生む」 というイメージで広く知られています。

一見むずかしく見えますが、実は日常でもよく起きている “身近な偏り” を説明する考え方です。
ここでは、初心者でも理解できるように、例を交えながら解説します。

80：20の法則の基本概念（「重要な20％が80％を生む」）

パレートの法則の中心となる考えは、とてもシンプルです。

✔ 全体には多くの要素があるけれど、実際に大きな結果を生むのはごく一部の重要な要素だけ。

例えば…

売上の80％は、上位20％の商品が作っていることが多い
仕事の成果の80％は、20％の重要タスクで決まる
ストレスの80％は、20％の原因に集まっている

このように、結果がきれいに「均等」になることは少なく、
偏った分布になることが現実では非常に多いのです。

ポイントは、「20％だけやればいい」という話ではなく、
“本当に重要な部分への集中が圧倒的に効率的になる” という考え方だという点です。

ヴィルフレド・パレートが見つけた“偏りの原則”とは

この法則は、イタリアの経済学者 ヴィルフレド・パレート が
「所得の分布」を調べている時に気づいたことがきっかけです。

彼が見つけたのは、

✔ 社会の富の大部分は、ごく少数の富裕層が所有している

という不均衡な事実でした。

さらに、パレートは自宅の庭のエンドウ豆の栽培量でも…

✔ 全体の収穫の大半は、少数の株（20％程度）から生まれていた

という “自然界にも偏りがある” 現象を発見します。

つまりパレートの法則は、
人間社会の構造だけでなく、自然の仕組みの中にも広く存在するパターン
だと言えるのです。

「80：20」は象徴であり、70：30・90：10にも当てはまる理由

初心者が誤解しやすいポイントがあります。

パレートの法則は「必ず80：20になる」という決まりではありません。

実際には以下のように変動します。

売上の90％が、上位10％で決まる
アクセスの70％が、上位30％の記事に偏る
SNSでは1％の投稿が、全体のほとんどの反応を生む

比率が変わる理由は、現象ごとに偏りの強さが異なるためです。

つまり…

✔ “少数が多数を生む” という不均衡構造こそが本質であり、比率の数字そのものは象徴に過ぎない

ということです。

この視点を持つと、
数字に縛られることなく、本質的な「重要ポイント」を見極める思考法を身につけられます。

パレートの法則が生まれた背景｜経済学から自然現象まで広がった理由

パレートの法則は、単なる「便利なビジネス法則」ではありません。
もともとは 経済学の研究 から生まれ、のちに 自然現象・社会現象・インターネット・科学分野 にまで広がった、汎用性の高い原則です。

ここでは、パレートの法則が発見された背景を 初心者でも理解できるように順を追って 解説していきます。

パレートが所得分布を調査して発見したこと

1880年代〜1890年代、経済学者 ヴィルフレド・パレート はヨーロッパの「所得分布」を調査していました。
そのとき、次のような驚くべき共通パターンを見つけます。

富の 約80％を、上位20％の人々が所有していた
国が違っても、年代が違っても、この偏りはほぼ同じだった

そしてパレートは気づきます。

「所得や資産は、まったく均等には分配されない。むしろ“偏り”が自然と生まれる構造がある。」

これがパレートの法則の原点です。
彼が見つけた偏りの比率は、のちに多くの現象でも確認され、経済学からビジネス・心理学・自然科学にまで応用が広がりました。

エンドウ豆の収穫にも現れた“偏り”のエピソード

パレートは、研究者としてだけでなく、身近な現象にも好奇心を向けました。

ある日、彼は自宅の庭で育てていた エンドウ豆 の収穫量を調べます。
すると、次のような現象が起きていました。

わずかな株（約20％）が、全体の収穫量の大部分（約80％）を生み出していた

この結果は、所得分布で見つけた偏りと同じ構造でした。

つまりパレートはこう考え始めます。

「この偏りは、人間の経済活動だけでなく、自然界にも存在するのではないか？」

この視点が、のちに統計学・数学でいう パレート分布（べき乗則） の研究へとつながっていきます。

なぜ多くの現象がパレート分布・パワーローになるのか

現代のデータ分析やネットワーク科学の研究では、多くの現象が パワーロー（べき乗則） と呼ばれる偏りの分布に従うことが分かっています。

その理由の代表は以下の通りです。

✔ 1）「累積優位（マタイ効果）」が働くから

成果を出した人は、さらにチャンスが集まりやすい
「成功する人がどんどん成功していく」構造が偏りを強める

例：フォロワーが多い人ほど、さらにフォロワーが増える

✔ 2）ネットワーク構造が偏りを増幅するから

SNSやネットの情報拡散は「スケールフリー構造」になりやすい
一部のノード（アカウント・サイト）が異常に強い影響力を持つ

例：上位1％の投稿が、全体の9割近い閲覧を生むこともある

✔ 3）自然界にも“偏りを生む力学”があるから

地震の規模、都市人口、遺伝子の発現頻度などもパワーロー分布に従う
「大きなものは非常に少なく、小さなものが圧倒的に多い」という構造

つまりパレートの法則は、

「偏りは例外ではなく、むしろ自然に発生する“普遍的なパターン”である」

ことを私たちに示しているのです。

パレートの法則の具体例｜ビジネス・日常・データ分析にみられる偏り

パレートの法則は「特定の分野だけで起きる現象」ではありません。
むしろ、仕事・売上・SNS・アクセス分析・日常生活など、ほとんどの領域で“偏り”が自然に発生します。

ここでは、初心者でも理解しやすいように、実際に起きている偏りの例を分かりやすく紹介します。

売上の80％は上位20％の商品から生まれる

ビジネスの世界では、もっとも有名なパターンです。

多くの企業で次のようなデータが見られます。

売上の大部分（70～90％）は、上位20％の商品がつくっている
残り80％の商品は、売上への寄与が少ない

これは小売業、EC、飲食店などジャンルを問わず発生します。

例：ネットショップの場合

売れ筋商品10個が、全体の売上のほとんどを支えている
残り100個の商品は、アクセスも売上もごくわずか

この偏りを理解すると、

✔ 何を強化すべきか
✔ どの商品に広告を投下すべきか
✔ どこを改善すべきか

が明確になります。

クレームの80％は20％の原因から発生する（品質管理）

品質管理の分野では、パレートの法則を応用した パレート図（Pareto Chart） が使われています。

多くの現場で次の現象が起きています。

クレームの大半は、少数の原因によって発生する
全部の問題を改善する必要はなく、「重要な原因」だけを解決すれば効果が大きい

たとえば、飲食店でクレームが多い項目を調べたら、

クレームの種類	発生割合
「待ち時間が長い」	45%
「注文ミス」	30%
「提供温度がぬるい」	10%
その他多数	15%

このように、上位2つで全体の70〜80％を占めるケースが多く、
重要な問題はごく少数だと一目で分かります。

SNSやアクセス分析でも偏りが起きる（バズ分布・長尾分布）

近年、SNSやブログ・YouTubeなどの世界では、
パレートの法則がさらに極端に現れることが分かっています。

上位1％の投稿が、全体の90％以上の反応を生む
ブログのPVの70～90％は、上位20％の記事に集中
YouTubeではごく少数の動画がほぼ全再生数を占める

これは、ネットワーク構造が 「一部の強者に有利に働く特性（ネットワーク効果）」 を持つためです。

つまり、ネットでは特に、

少数の“当たりコンテンツ”が全体を引き上げる構造になりやすい

ということです。

日常生活の例（タスクの一部が成果の大部分を生む）

日常にも「80：20」は隠れています。

散らかるものの80％は、家の20％のスペースに集中している
人間関係のストレスの80％は、2～3人の相手に偏っていることが多い
やる気や達成感の80％は、20％の重要タスクを終えたときに感じる

つまり、日常生活ですら、

✔ “本当に大事な少数”に焦点を当てると効率と幸福度が上がる

ということが分かります。

パレートの法則と関連理論｜ロングテール・ジフの法則・パワーローとの違い

パレートの法則を深く理解するには、似た構造を持つ理論や、
逆のパターンを示すモデルと比較することがとても有効です。

ここでは、初心者でも混乱しないように、
パレートの法則と特に関係の強い4つの理論をやさしく整理します。

①ロングテール理論（ニッチが集まると全体が大きくなる）

ロングテール理論は、パレートの法則と「対比されやすい」考え方です。

パレート：一部が大部分を生む（80：20）
ロングテール：大量のニッチ（売れにくい商品）が集まると、上位商品と同じくらい売上になる

これはインターネット時代に顕著で、Amazon や Netflix のように
「在庫を無限に持てる」ビジネスで起きやすい構造です。

例：Amazonの売上構造

上位20％の商品が大きく売れる（パレート型）
しかし残り80％の”ロングテール商品”も、種類が膨大なので売上が積み上がる

つまり、現代のビジネスでは…

✔ パレート型の偏りも起きるし
✔ ロングテール型で多数の小さな売上が積み上がる場合もある

ので、この2つをセットで理解するのが大切です。

②ジフの法則・べき乗則（頻度や規模の不均衡を説明する数理モデル）

ジフの法則（Zipf’s Law）は、
「ランキング上位ほど圧倒的に大きく、下位に行くほど急激に小さくなる」
という数学的な法則です。

例としてよく挙げられるのが、都市の人口規模や単語の使用頻度。

1位は2位の2倍
2位は3位の1.5倍
下位は極端に小さい

こうした分布は、パレートの法則と同じく “ごく一部が突出して大きい構造” を説明するもので、
数学的には「パワーロー（べき乗則）」という同じ枠組みに属します。

図で描くと、右肩がスーッと下がる“長い尾”のような形になります。

パレートの法則＝現象の説明
パワーロー・ジフの法則＝その背後にある数学の形

というイメージを持つと理解しやすいです。

③制約理論TOCや“クリティカル・ファクター”との関係

制約理論（TOC：Theory of Constraints）は、

「全体の成果は、最も弱い1ヶ所（制約）によって決まる」

という経営理論です。

これはパレートの法則と非常に相性がよく、

全体の成果を最大化するには
ボトルネック（重要20％）を改善することが最優先

という考え方につながります。

また、「クリティカル・ファクター（成果を決める最重要因子）」という概念もパレート的です。

✔ 仕事の成果を上げたいなら、まずは “一番効果の大きい部分” に集中する
✔ 全部を同時に改善する必要はない

という、効率的な行動の方向性を教えてくれます。

④偏りが強まる仕組み：マタイ効果・ネットワーク効果

「なぜ偏りは強まるのか？」
この疑問を説明するのが、以下の2つの現象です。

1）マタイ効果（累積優位）

成功すると、さらに成功しやすくなる仕組み。

フォロワーが多い人に、さらにフォロワーが集まる
人気がある商品は、さらに売れやすくなる

これは “少数が大多数を生む構造を加速させる力” として働きます。

2）ネットワーク効果（スケールフリー構造）

SNSやネットワークでは、一部のノード（人・サイト）が突出した影響力を持ちます。

YouTubeでは上位1％の動画が再生数のほぼすべてを占める
SNSでも「バズる投稿」はごく一部だけ
ウェブサイトも一部のページがほとんどのアクセスを集める

つまり、ネット社会はパレートの偏りをさらに極端な形（1％が99％を生む等）にする特性があるのです。

パレートの法則を仕事に活かす方法｜重要な20％に集中する思考法

パレートの法則の本当の価値は、
「結果の大部分は、行動の一部が決める」という現実を、効率よく活用できる点 にあります。

ここでは、ビジネス初心者でもすぐに使えるように、
優先順位の決め方・時間管理・改善活動・働き方の工夫 の4つの観点から解説します。

①成果が最大化する優先順位のつけ方

仕事の成果は“量ではなく、方向”で決まります。
そのため、最初にやるべきことは 「重要な20％を見つける」 ことです。

【重要な20％を見つける質問例】

今やっている仕事の中で、最も成果に直結するものは？
このタスクをやめたら、成果はどれくらい下がる？
上司や顧客が最も価値を感じるアウトプットは何？

これらの問いに答えるだけで、
「なんとなく忙しい」状態から「成果に直結する動き」 に変わります。

【優先順位のつけ方の基本ステップ】

タスクをすべて書き出す
「成果に与える影響が大きい順」に並べる
上位20％を“最優先タスク”としてブロック時間を確保
下位の80％は、まとめて処理・自動化・削減を検討

この考え方は、パレート法則そのものです。

②時間管理で使う「重要20％タスク」の見つけ方

忙しい人ほど、「重要ではない多数のタスク」に時間を奪われています。
時間管理では、次の手順が効果的です。

【1日を最大化する時間管理の流れ】

最初の1～2時間を “重要20％タスク” に使う
営業・企画・戦略・分析など「成果を決める仕事」に集中する
メール・雑務・返信など、成果に直結しない作業は後回しにする

時間には「ゴールデンタイム」があります。
その時間を上位20％の仕事に投資するだけで、結果が劇的に変わるのです。

③プロジェクト管理・改善活動での活用ポイント

プロジェクトが停滞する理由は、大量の課題や作業があるからではありません。
実は、

✔ “ほんの数ヶ所のボトルネック” が、全体の進行を止めているケースが多い

これがパレートの法則と制約理論（TOC）が重なる部分です。

【改善活動での使い方】

問題点をすべて洗い出す
発生頻度・影響度の高い順に並べる
上位20％だけ徹底的に改善する

これがもっとも “短期間で成果が出る改善手法” です。

④ディープワークやミニマリズムと相性が良い理由

ディープワーク（Cal Newport）は、
「少数の重要タスクに深く集中する働き方」 を推奨しています。

これはまさにパレートの法則そのものです。

必要な仕事は一部だけ
重要な成果は深い集中状態で生まれる
不要なタスクは大胆に捨ててよい

またミニマリズムの
「必要最小限に絞ることで最大の価値を得る」 という思想とも強くリンクします。

つまりパレートの法則は、

“成果の質と量を最大化したい人のための、最もシンプルで強力な働き方モデル”

と言えるのです。

パレートの法則のビジネス活用｜売上分析・顧客分析・在庫管理に応用

パレートの法則は、ビジネスのあらゆる場面で「何にリソースを集中すべきか？」を教えてくれます。
特に 売上分析・顧客分析・在庫管理・マーケティング・営業戦略 と相性が良く、
“最小の労力で最大の成果を出す”ための判断基準 として使われます。

ここでは、代表的なビジネス応用を4つの観点から解説します。

①ABC分析で重要商品・重要顧客を特定する方法

ABC分析は、パレートの法則を実務向けに落とし込んだ手法です。

【ABC分析の基本】

区分	内容	意味
Aランク	上位20％	売上の大半を生む「最重要」商品・顧客
Bランク	上位20〜50％	中堅層、改善すれば伸びる
Cランク	下位50％以上	売上にほぼ寄与しない多数

これにより、

どの商品に投資すべきか
どの顧客を重点フォローすべきか
どの在庫を削っても問題ないか

が明確になります。

よくある判断基準

A：戦略的に強化
B：改善・育成
C：コスト削減・廃棄・在庫縮小の対象

在庫管理やネットショップ運営では、最も実践的な“パレート応用”です。

②LTV分析で“上位顧客20％”に集中するメリット

LTV（顧客生涯価値）を調べると、多くの企業で次のような偏りが生まれています。

売上の70〜90％は、上位20％の顧客で構成されている
リピーターの一部が、ビジネスの柱になっている
新規顧客より、既存顧客の満足度向上の方が費用対効果が高い

このためマーケティングでは、

✔ 広告よりリピート施策に投資する
✔ VIP顧客向け施策を設計する
✔ 顧客体験（CX）を最適化する

など、“重要顧客20％への集中”が主流になっています。

③マーケティング施策の優先度を決めるコツ

マーケティングは施策が多く、どれに手を付けるか迷いがちです。
ここで役立つのが「パレート的優先順位」です。

【重要20％を見つける質問】

売上につながる確率が高い施策は？
すでに成果の出ているチャネルは？
顧客が最も価値を感じているポイントは？

パレートの法則を施策選びに適用すると、

SNSの中でも伸びやすい投稿テーマに集中
広告費は反応の良いセグメントに寄せる
LPは「成約率を左右する数項目」だけ徹底改善

など、投資対効果の最大化が可能になります。

④営業活動を「効率が悪い多数」から「成果を生む少数」へシフトする方法

営業の世界でも、成果は偏って分布します。

売上の80％を作るのは、上位20％の顧客
営業成果の大部分は、少数の“見込みの高い案件”から生まれる

つまり、すべての顧客に平等に時間を使う必要はありません。

【営業でのパレート活用】

“確度の高い20％案件”を最優先でフォロー
反応が薄い多数には最低限の工数で対応
初回ヒアリングで「見込みA・B・C」を分類
A（最重要）に80％の時間を集中させる

これにより、
「頑張っているのに売れない」という悪循環を抜けやすくなります。

パレート図（Pareto Chart）の使い方｜データの偏りを可視化する方法

パレート図は、
「どの要因が最も大きな問題を生んでいるのか？」
「改善すべき重要な20％はどれか？」
を “ひと目で判断できる” 強力な可視化ツールです。

品質管理（QC）・マーケティング・CS分析・アクセス解析・クレーム分析など、
あらゆる業務で使われます。

この章では、初心者でもすぐ使えるように
作り方 → 重要要因の特定 → Excelでの作成方法 の流れでまとめます。

パレート図の作り方（棒グラフ＋累積折れ線）

パレート図は、次の2つを組み合わせた図です。

棒グラフ：各要因の数値（頻度・件数・売上など）
折れ線：累積割合（全体のうちどの程度を占めるか）

【作り方の基本ステップ】

項目をリスト化する（例：クレーム原因、売れ筋商品、不良内容など）
件数（または売上）を多い順＝降順に並べる
累積割合を計算する（1番目→2番目→3番目…と足し上げる）
棒グラフ（項目別の件数）を作成する
折れ線グラフとして重ねる（棒＋折れ線の複合グラフ）
※80％ラインを引く（オプション）

※80％はよく使われる目安だが、必須ではない。

⚠️ 注意点：80％＝20％ではない（必ずしも一致しない）

パレート図の目的は、

「上位のどこまで対処すれば、全体の80％の問題を改善できるか？」

を判断することです。

つまり、

棒グラフの何個目で累積80％になるか
その範囲が“重要要因”
という考え方です。

ここで注意：

🔸 80％時点が “20％の項目数” になるとは限らない。

例：
5つのクレーム項目があったとして、

第一原因→50％
第二原因→30％
第三原因→10％
その他→10％

累積80％になるのは：

第1（50％）＋第2（30％）＝80％

つまり 上位2項目＝40％の項目数。

→ 20％ではないが、重要要因であることは変わらない。

何が“重要な少数”かを特定する手順

パレート図の最大の目的は、
「改善効果の高いポイントを一瞬で見つける」 ことです。

【重要ポイントの見つけ方】

累積80％ラインより左側にある項目が “最優先の改善対象”
右側の項目は多数だが、効果は小さい（後回しOK）

例：クレーム分析の場合

上位2〜3項目だけで全体の7～8割を占める
→ この部分を直すだけで大量のクレームが減る

例：売上分析の場合

売上の大半が特定の商品・顧客に集中
→ この少数点を強化すれば売上が伸びる

つまり、パレート図を見れば一瞬で

「どこを直せば全体が良くなるか？」

がわかります。

ExcelやGoogleスプレッドシートでの作成方法

難しそうに見えて、実はとても簡単です。

【Excelでの作り方（簡易版）】

項目名と数値（件数・売上など）を入力
降順（大きい順）に並べ替える
「挿入 → おすすめグラフ → パレート」を選択
自動で棒＋累積折れ線が作成される

※最新版Excelには“パレート図”が標準搭載されています。

【Googleスプレッドシートの場合】

項目名と数値（件数・売上など）を入力
降順で並べる
別列で累積割合を計算
棒グラフを作成
設定の「複合グラフ」で折れ線を追加する

慣れると 3分で作れる レベルです。

パレート図は、数字を見慣れていない初心者ほど
「どこを改善すればいいかわからない」問題を一瞬で解決してくれる、
とても便利な分析ツールです。

パレートの法則が当てはまらないケース｜注意点と誤解しやすいポイント

パレートの法則は非常に強力ですが、
「すべてに当てはまる万能ルールではない」 ことを理解しておくことも重要です。

ここでは、初心者が特に誤解しやすい
“比率の誤解／ロングテール型との違い／集中しすぎるリスク”
という3つのポイントを分かりやすく説明します。

①「必ず80：20になる」は誤解（比率は状況で変動する）

まず前提として、パレートの法則は “数値が厳密に80：20になる” という意味ではありません。

実際には…

90：10
70：30
95：5
99：1（ネット上で起きがち）

など、さまざまな形で現れます。

比率が変わる理由は、現象によって 「偏りの強さ」 が異なるためです。

✔ よくある誤解

「20％に集中すれば必ず80％の成果になる」→ ×（状況による）
「必ず20％と80％に分けなければいけない」→ ×（象徴的な表現）

本質は比率ではなく、

“ごく少数の要因が大部分の結果を生む” という構造そのもの

という点を忘れないことが大切です。

② ロングテール型ビジネスでは逆になるケースもある

Amazon・Netflix・Spotify のような
膨大な商品を扱うロングテール型のビジネス では、
パレートの法則とは“逆のパターン”も起きます。

【例：ロングテール型の特徴】

上位20％の商品が大きく売れる（パレート型）
しかし残り80％の商品数が膨大なので
→ 少量売れの商品が積み重なり、全体の売上の大部分を占めることもある

つまり、ロングテールでは、

多数の弱い商品が、上位の強い商品を合計で上回る

という現象もあり得ます。

このように、扱う商品の種類・価格帯・顧客行動 によって
パレート型になるか、ロングテール型になるかが変わります。

③ 少数に集中しすぎるリスク（視野の偏り・依存）

パレートの法則は便利ですが、
使い方を誤ると “重要な20％に依存しすぎる” という問題が起きます。

【集中しすぎのデメリット】

上位商品だけに依存すると、急に売れなくなった時に倒れる
特定顧客に売上が集中すると、離脱リスクが極端に高くなる
組織が「目先の効果が高い部分」だけを追いすぎて、長期戦略を見失う
創造的な挑戦や新商品開発が停滞する

つまり、パレートの法則は“戦略的に使うべきツール”であり、
盲目的に従うべきルールではありません。

✔ 正しい使い方の例

重要20％を強化しつつ、
中長期で伸びる「次の20％」も育てる
過度に一点集中せず、リスク分散も並行する

このバランスが、ビジネス継続において最も重要です。

ブログ運営・副業でのパレートの法則の使い方（応用編）

パレートの法則は、ブログ運営や副業（ネット販売・情報発信・商品リサーチなど）と非常に相性が良い「成果を最大化する思考法」です。

特に以下の3つは、実際の現場で即効果が出る“再現性の高い使い方”です。

アクセス上位20％の記事を強化する
収益の80％を生む記事・商品に集中する
仕入れ・リサーチの効率化に使う

あなたのブログ運営やせどりの文脈にも合うよう、実務で使いやすい形で解説します。

アクセス上位20％の記事を強化するだけでPVが伸びる理由

ブログのアクセスを見ると、ほとんどのメディアで次のような偏りが起こります。

全記事のうち、上位20％の記事が全体の80％以上のアクセスを集めている
伸びる記事は一部、伸びない記事は多数

この偏りはジャンルに関係なく発生します。

改善の優先順位はブログの状況によって変わるが、上位20％の記事を強化すると即効性が出やすい

タイトル改善
画像・図解の追加
H2構成のリライト
内部リンクの整理
競合との差別化ポイントを明確化

これらを上位記事に施すことで、短期間でもPVが跳ね上がることがあります。

上位20％のリライト（短期効果）
　→ 既に評価されている記事を伸ばすと即効性がある。
新記事追加（中長期の成長）
　→ カテゴリ網羅性、内部リンクの基盤形成。
設計改善・回遊率改善（サイト全体の健康）

収益の80％を作る記事の見つけ方

アフィリエイトブログでは、特に偏りが顕著です。

収益の大部分は、ほんの数記事から生まれる
全体の売上の70〜90％を作るのは数％の記事

だから、

「稼いでいる記事を特定して、徹底的に強化する」

ことがポイントです。

【収益記事を強化するチェックリスト】

CVポイントは明確か？
競合より“具体的な体験・事例”があるか？
申込み導線（CTA）が分かりやすいか？
E-E-A-Tを満たしているか？
商品選びは読者ニーズとズレていないか？

強化すべき記事が少ないほど、
「記事数は多いのに稼げない」状態を抜けやすくなります。

商品リサーチや仕入れにも活用できる“重要20％の選別”

ネット販売でもパレートの法則が強力に機能します。

よく売れる商品＝ごく一部だけ
利益を作る商品＝一部の高回転・高利益アイテム
多くの商品は売れ行きが悪い

という現象が起きるはずです。

✔ そこでやるべきは「重要20％の見極め」

【例：リサーチ効率を上げる質問】

なぜこの商品だけ売れた？
なぜ利益が出た？
キャッシュフローに貢献している商品は？
回転率の高いジャンルは？

この分析を繰り返すと、

少数の勝てるジャンル
利益を作る高単価帯
相性の良い仕入れルート

だけが浮き上がってきます。

これこそが「パレートの選別」です。

ブログ×副業でのパレート活用のまとめ

パレートの法則を応用すると、

無駄な作業が減る
成果が出るポイントに集中できる
PVも収益も伸びやすくなる
やることが明確になるのでメンタルが安定する

「成果のほとんどを生む少数の行動」を選び抜くことが最重要

と言えます。

まとめ｜パレートの法則を理解すると、行動の優先順位が変わる

パレートの法則の本質は、
「すべての行動が同じ価値を持つわけではない」
という、極めてシンプルでありながら強力な原則です。

仕事・ビジネス・日常生活・学習・副業など、多くの領域では
「結果の大部分が、少数の要因から生じている」という偏りが見られます。

この章では、
（1）本当に集中すべき20％とは何か
（2）パレートの法則が使える理由
（3）今日から誰でもできる実践ステップ
の順にまとめます。

①本当にやるべき20％に集中すると成果が最大化する

1日の行動、仕事のタスク、ブログの記事、仕入れ商品、顧客リスト――
それらをすべて同じ重みで扱うのは非効率です。

成果を出したいなら、

“価値を生む少数の行動” に全力投下する