「親と距離を置きたい」と感じる人は多いです。
しかし、そのことに罪悪感を覚える人も少なくありません。
親との関係が精神的な負担になる場合、自分の人生を守るための選択として距離を考えることは重要です。
この記事では、親と距離を置きたいと感じる心理の原因や、具体的に距離を取る方法について解説します。
親との適切な距離感を考えて、自分が納得できる人生を歩みましょう。
親と距離を置きたい心理の原因とは?
ここでは、「親と距離を置きたい」と思う心理の原因について解説します。
①自立したい気持ち
これは良くあることですね。
人は成長するにつれて、親の保護下から離れて自分で人生をコントロールしたいと感じるようになります。
この心理は、特に思春期や成人期に多いです。
たとえば、親が「今日は何時に帰るの?」と頻繁に聞いてくる場合、自分の自由が制限されていると感じることがあるかもしれません。
「もう子ども扱いされたくない」という気持ちは、自然な成長の一部です。
②過去のわだかまり
幼少期に受けた親の態度や教育よって親へのわだかまりが生まれることがあります。
このような感情が未解決のままだと、親との距離を保とうとする「心理的防衛反応」が働くことがあります。
心理的防衛反応とは、心の傷を避けるために無意識に取る行動です。
親に対して一定の距離を取ることで、自分を守ろうとする自然な反応と言えるでしょう。
③プレッシャーからの解放
親との関係が近すぎると、過度な期待やプレッシャーが負担になることがあります。
たとえば、親が「あなたは医者になるべき」と強く期待している場合、それに応えられないと感じたとき、精神的な疲労がたまります。
また、親が頻繁に感情を共有してきて、「あなたのためにこんなに頑張ってきた」と言われると、感謝の気持ちと精神的な負担感の板挟みになることもあります。
④親の期待に応えられない罪悪感
親からの期待が高いと、それに応えられないと感じたときに罪悪感が生じます。
「親を失望させてしまうかもしれない」という恐れから、親との関係を避けるようになる場合があります。
たとえば、親が「家業を継いでほしい」と言っているのに、自分には別の夢があるとします。
そのとき、「自分のやりたいことを選ぶのは親不孝だろうか」と葛藤するのです。
この罪悪感を和らげるためには、親の期待を無理に背負うのではなく、自分の選択を尊重する考え方が必要です。
④親子の役割逆転
親が高齢化し、子どもに依存する場面が増えると、子ども側が負担を感じることがあります。
たとえば、親が頻繁に助けを求めたりする場合です。
この状況は「役割の逆転」とも呼ばれ、親子関係がストレスの原因になることがあります。
このような場合、専門家の助けを借りることや、他の家族と協力することで負担を分散させるのが一つの方法です。
⑤ライフステージの変化
結婚や転職、子育てなどライフステージが変わると、親との距離感も変わります。
自分の家庭や仕事を優先するようになることで、親との物理的・心理的な距離が自然に広がることがあります。
たとえば、結婚して新しい家庭を築くとき、親から「もっと頻繁に顔を見せて」と言われることがあります。
しかし、自分の新しい生活を大切にしたいという気持ちから、親との距離を意識するようになるのです。
親と距離を取った方がいい人
親との距離を考えるとき、「どのような状況や親の特徴があれば離れた方がいいのか?」と悩むことがあるかもしれません。
ここでは、親と距離を取る選択が必要になるケースや、どのような人が距離を取るべきかをわかりやすく解説します。
①過度な干渉をする親
親が子どもの生活に過度に介入し、干渉が強すぎる場合、離れる選択を考える必要があります。
たとえば、「今日は誰と会うの?」「何時に帰るの?」と日常の行動をすべて知ろうとしたり、進路や恋愛にまで口を出してくる場合が挙げられます。
なぜ離れるべきなのか?
干渉が強いと、子どもが自分の意志で物事を選ぶのが難しくなります。
また、自由を感じられない生活がストレスとなり、精神的な負担につながることがあります。
子どもに過度の干渉をする親は、不安や承認欲求から他人に対する支配欲が強い場合が多いです。
②過度の否定をしてくる親
親が子どもに対して過度に否定的な態度をとる場合、距離を置くことを検討すべきです。
親の否定的な言葉や行動は、子どもの自己肯定感や精神的な健康に大きな影響を及ぼします。
なぜ離れるべきか?
親から「そんなの無理だ」「お前にはできない」といった否定的な言葉を繰り返されると、子どもは「自分には価値がない」と感じるようになります。
その結果自己肯定感が下がります。
③親が過度に依存してくる場合
親が子どもに対して過度な依存を示している場合も、距離を置くことが必要です。
たとえば、親が自分の悩みを常に相談してきたり、金銭的な援助を求め続けたりする場合です。
なぜ離れるべきなのか?
親の依存が強いと、子どもの生活に支障をきたします。
自分の時間やエネルギーが親のためだけに使われることになります。
また、依存心に応えることで、さらに親の依存心を助長することもあります。
④過度にネガティブな親
親が常に過度にネガティブな態度を取る場合も、距離を置くことを検討したほうがいいかもしれません。
ネガティブな態度は、子どもの心理状態に直接的な影響を与えるためです。
なぜ離れるべきか?
ネガティブな発言や態度を頻繁に目にすると、子どもも同じように悲観的な考え方をするようになります。
その結果、子どものエネルギーが吸い取られます。
たとえば、「世の中は厳しい」「何をしても無駄」といった言葉を聞き続けると、子どものモチベーションが低下することがあります。
心配性な親が子どもに与える悪影響
心配性な親は、子どもの安全や将来を思うあまり、過度に口出ししたりコントロールしようとすることがあります。
この行動が子どもに悪影響を与える場合もあります。
主な悪影響
- 自己肯定感の低下
親が常に「それは危ない」「失敗するかも」と言うと、子どもは「自分には何もできない」と感じやすくなります。 - 挑戦することが怖くなる
親がリスクを避けるよう強調すると、子どもは新しいことに挑戦するのを恐れるようになります。「挑戦することが怖い」と考え、自分の可能性を広げる機会を失うこともあります。 - 過度な依存
親が心配しすぎることで、子どもは「親がすべてを解決してくれる」と思い、自立心が育ちにくくなります。結果として、大人になっても親に頼りがちな傾向が生まれることがあります。
⑤子どもの意思が常に尊重されない場合
親が子どもの意志を無視して、自分の考えを押し付ける場合も、距離を置くことを考えた方がよいでしょう。
たとえば、進路や結婚相手、住む場所など、人生の重要な選択をすべて親が決めようとするケースです。
なぜ離れるべきなのか?
親の意見を尊重しすぎると、子どもは自分の人生に責任を持てなくなります。
また、「自分は何をしても親にコントロールされる」と感じ、無力感に陥る可能性があります。
⑥過去のトラウマや心理的な負担が解消されていない場合
幼少期に親との間で心理的なトラウマを抱えている場合、距離を置くことが一つの解決策になることがあります。
たとえば、厳しすぎるしつけや、愛情の不足による影響が残っている場合です。
なぜ離れるべきなのか?
親との関係が原因で心の傷が癒えないと、自己肯定感の低下や人間関係の問題につながることがあります。
一時的にでも距離を置くことで、自分自身を見つめ直す時間を確保し、心理的な回復を図ることができます。
⑦親が毒親(いわゆる有害な親)である場合
毒親とは、子どもに対して有害な行動や態度を繰り返す親のことを指します。
以下のような特徴があります。
- 常に子どもを支配しようとする。
- 子どもの人格を否定する発言を繰り返す。
- 暴力や虐待を行う。
なぜ離れるべきなのか?
毒親との関係は、心身の健康に深刻な影響を与えることがあります。
この場合、距離を置くことは「親を捨てる」行為ではなく、自分自身を守るための正当な選択です。
親との関係は一人ひとり異なり、距離を置くべき状況もそれぞれです。
重要なのは、自分自身の心と体を守るための選択を恐れずにすることです。
もし「親との関係が辛い」と感じるなら、一時的にでも距離を置くことを検討してみましょう。
親から離れることで、失うものがあると同時に、新しい自分の人生を見つけるチャンスが得られるかもしれません。
親と距離を取る方法
親と距離を取りたいと感じても、実際にどのようにすればいいのか分からないもあるでしょう。
ここでは、親と距離を取る方法を解説します。
①自分の気持ちを整理する
まずは、自分がなぜ親と距離を取りたいのかを自分の気持を整理することが重要です。
自分の気持を言語化する
親と距離を置きたい理由や、どのように感じているかを自分の気持を言語化しましょう。
頭の中で考えるのもいいですが、紙に書き出すと自分の気持を視覚化しやすくなります。
例: 「親が私の生活に口を出すのが辛い」「自分の意見を否定されるのが悲しい」など
理想の関係をイメージする
親とどの程度の関わりを持ちたいのか、現実的に考えます。
たとえば、「月に1回会う」「メールだけで連絡をとる」「縁を切る」など、自分に合った距離感を設定しましょう。
②効果的なコミュニケーションを心がける
親と距離を置く際には、効果的で冷静なコミュニケーションが大切です。
感情的になって反発すると余計に揉める原因になります。
また、情に流されて親の言う通りにすると後で後悔する可能性があります。
自分の意見を率直に伝える
「少し自分の時間を大切にしたい」「自分の生活を優先させたい」というように、正直な気持ちを伝えましょう。
基本的には、相手を傷つけない表現を選ぶことが大切です。
ですが、傷つけないように遠回しに伝えると全く伝わらないこともあります。
なので、その場の状況に合わせて最善だと思うコミュニケーションをしましょう。
責める言葉は避ける
「どうしていつも干渉するの?」などの攻撃的な言葉は避け、「私はこう感じる」といった自分主体の表現を心がけましょう。
これにより、対立を防ぎながら距離を取る話し合いができます。
ただ、責める言葉を使わないと自分に非はないと考え、全く態度を改めないこともあります。
なので、どうしても責める言葉を使ってしまうこともあるでしょう。
責める言葉を言う場合は後味が悪くなることがあるでしょうが、その場合は自分を責めすぎないようにしてください。
③物理的な距離を取る
親との関係を減らすには、物理的な距離を取ることが効果的です。
これは、心理的な余裕を得るために役立ちます。
住む場所を変える
実家に住んでいる場合は、できるだけ独立を目指しましょう。
独立することで、自分の時間や空間を確保しやすくなります。
連絡頻度を調整する
電話やメッセージの頻度を減らすことで、適度な距離感を保つことができます。
たとえば、「1日1回の連絡を週に1回に減らす」といった具体的な目標を設定しましょう。
④信頼できる友人や家族に相談する
親との関係が複雑で解決が難しい場合は、第三者の助けを借りることも選択肢になります。
自分一人で抱え込まず、信頼できる人に話を聞いてもらうことで気持ちが軽くなります。
また、他者の視点から有益なアドバイスをもらえることもあります。
⑤少しずつ距離を取る
いきなりあからさまに距離を取ろうとすると親の反発を招きやすいので、少しずつ距離を取るのもいいかもしれません。
例:
- 電話の時間を短くする。
- 週末だけ自分の時間を確保する。
- 「距離を置きたい」と伝える前に、まずは日常的なコミュニケーションの量を減らしてみる。
親から離れられないケースと対処法
親との距離を置きたいと考えても、さまざまな理由から離れるのが難しい場合があります。
ここでは、よくあるケースごとの具体的な対処法を紹介します。
どのような状況でも、自分の心を守りながら関係を見直すことが重要です。
①親の反発
親と距離を取ろうとしたり、自立を目指したりすると、親から反発されることがあります。
この反発が原因で、親から離れるのが難しく感じることも少なくありません。
親が反発する主な理由
- 「親の役割」を失うことへの不安
子どもが自立すると、親としての役割が終わると感じ、寂しさや不安から離れることを拒む場合があります。 - 過干渉や支配欲
親が子どもの人生に強く干渉したいという欲求から、「自分がいないとダメ」という考えで反発することがあります。 - 価値観の違い
「家族は一緒にいるべき」という価値観が強い親は、距離を取ることに理解を示さない場合があります。 - 子どもへの依存
親が精神的、経済的に子どもに依存している場合、離れることに対して強い拒否反応を示すことがあります。 - 親自身の孤独や不安
親が友人関係や趣味を持たず、子どもとの関係依存している場合、距離を置かれることに恐れを抱くことがあります。
親の反発に対する対処法
- 自分の意思を尊重する
親が反発しても、自分の人生を生きるという意思を大切にしてください。親の期待に応えようとするあまり、自分を犠牲にしないことが重要です。 - 必要に応じて距離を調整する
完全に離れるのではなく、連絡頻度を減らしたり、一定のルールを設けて付き合い方を変えることで、親との関係を穏やかに保ちながら距離を取ることができるかもしれません。この場合も自分の気持に無理をしないようにしてください。
親の反発に対処する際、罪悪感を抱えすぎないようにすることが大切です。
また、無理に親を説得しようとすると、かえって関係が悪化することもあるため、自分のペースで進めましょう。
②経済的な問題
親からの経済的な支援を受けている場合、自立が難しく感じることがあります。
たとえば、学生や若い社会人が家賃や生活費を支払えないために実家で暮らし続けるケースが典型的です。
対処法
少しずつ自立の準備をする:収入の一部を貯金して、将来的に一人暮らしができる資金を作りましょう
③親以外の人間関係が関わってくる
親と距離を取りたいと感じても、親以外の兄弟や親戚とのつながりがある場合、親との距離を取るのが難しいと感じることがあります。
親との関係を減らすことで、他の人達とも疎遠になる可能性があります。
対処法
- 親以外の家族に自分の気持ちを伝える
親と距離を置きたい理由を兄弟や親戚に理解してもらうことを目指します。自分の気持ちや考えを冷静に説明することが大切です。 - 関係のバランスを取る
親とは距離を置いても、兄弟や親戚とは別途関係を築くよう努力します。親戚や兄弟との会話で、親の話題を避けることも検討してください。 - 家族行事に参加する際のルールを決める
冠婚葬祭や集まりには必要最低限だけ参加し、親と直接対面する時間を減らす方法を取りましょう。挨拶程度の短い接触にとどめるなど、負担を軽くできます。
④他人の評価
「親を大切にするのが当然」という他人の評価が、親から離れる選択を妨げることがあります。
たとえば、親と距離を置くことで「親不孝者」と見られることを恐れるケースです。
対処法
他人の評価に囚われすぎない:自分の人生を生きるためには、周囲の目を気にしすぎないことが重要です。「自分にとって何が大切か」を考えるようにしましょう。
⑤罪悪感
親との関係を見直したい、距離を置きたいと考えても、「罪悪感」によってそれが難しくなるケースがあります。
罪悪感は、親に対する感情や価値観に深く根ざしており、自分の行動に制限をかけてしまうことがあります。
罪悪感が生まれる主な理由
- 「親を大切にしなければならない」という価値観
特に日本のように家族や親孝行を重んじる文化では、「親を見捨てるのは悪いこと」と感じる人が多いです。 - 親の期待や訴えかけ
「あなたがいないと寂しい」「こんなに育ててきたのに」という言葉や態度が、子どもに罪悪感を抱かせることがあります。 - 親の高齢化や健康問題
親が年を重ねて弱っていく様子を見ると、「自分がそばにいて支えなければ」と感じてしまうことがあります。 - 親から受けた恩を忘れられない
育ててもらった感謝の気持ちが強いと、「距離を取るのは恩知らずだ」と感じる場合があります。 - 社会的・宗教的な影響
「家族を見放すのは悪」「家族を優先するべき」という考え方が罪悪感を助長することがあります。
罪悪感に対処する方法
- 罪悪感の正体を理解する
まずは、自分が何に対して罪悪感を感じているのかを冷静に見つめることが大切です。罪悪感の多くは、親や社会の価値観から生まれた「思い込み」である場合があります。 - 親の気持ちと自分の気持ちを分ける
親が「寂しい」と感じることと、自分が「幸せに生きる権利を持つ」ことは別問題です。親の感情を全て自分が背負う必要はありません。 - 親の自立を促す
親が子どもに依存している場合、親から離れることが親の自立心を促す行為だと考えると、罪悪感が減るかもしれません。
親への依存心
自己肯定感が低く、親への依存心が高い場合、恐怖心から親と離れたくてもは離れられないことがあります。
たとえば、「親と離れて、一人で暮らすことがすごく不安」と感じる場合が典型的です。
対処法
- 小さな自立を目指す
毎日の買い物や料理など、簡単なところから自分で行う習慣をつけましょう。 - 目標を設定する
たとえば、「半年後には一人暮らしを始める」といった具体的な目標を立てることで、自立へのステップを明確にできます。
親の介護
親が高齢で介護が必要な場合、物理的にも心理的にも距離を置くことが難しくなることがあります。
対処法
- 支援サービスを活用する
地域の介護サービスやヘルパー制度を利用することで、負担を軽減できます。 - 家族全員で分担する
一人で全てを抱え込まず、他の家族や親戚と協力して介護の負担を分担するようにしましょう。 - 自分をケアする時間を確保する
自分の健康や心の余裕がなければ、適切な介護ができません。リフレッシュする時間を意識して持つようにしてください。
まとめ:親との距離を考えるときの大切なポイント
以下に、この記事で紹介した重要なポイントをまとめました。
1. 自分の気持ちを大切にする
- 親との距離を置きたい理由を整理し、自分の気持ちを言語化しましょう。
- 自分自身の幸せや成長を優先して考えることは大切なことです。
2. 無理に親を説得しない
- 親との距離を取る際に、すべてを理解してもらおうと無理に説得しないでください。
- 自分の意思を明確にし、冷静なコミュニケーションを心がけましょう。
3. 少しずつ距離を取る
- 一気に距離を置くと親の反発を招くことがあるため、少しずつ距離を取ることを検討しましょう。
- 例:電話の頻度を減らす、物理的な距離を確保する。
4. 罪悪感を手放す
- 親との距離を考えるときに罪悪感を抱くことがありますが、まずは自分の感情を受け入れましょう。
- 「自分の幸せを追求することは悪くない」と自分に言い聞かせましょう。
5. 第三者に相談する
- 信頼できる友人や家族に相談したり、場合によっては専門家に相談することも検討しましょう。
6. 自分の人生を生きる覚悟を持つ
- 他人の評価や親の期待に縛られず、自分の人生を生きるという覚悟を持ちましょう。