「不安やストレスで余裕がなくなる…」そんな感覚はありませんか?
- 不安やストレスで頭が固まる
- 解決策が見えなくなる
- やる気が湧かず、行動が止まる
もし思い当たるなら、脳が危険モードに入り、自然と視野が狭くなっているのかもしれません。
この記事では、ポジティブ心理学の理論
「ブロードン・アンド・ビルド理論(ポジティブ感情が視野を広げ、能力を育てる仕組み)」
を初心者にもわかりやすく解説します。
読むことで、
- ポジティブ感情が人生を変える科学的メカニズム
- 不安で視野が狭くなる理由
- 10種類のポジティブ感情と効果
- 今日から使える具体的な実践方法
が理解できるはずです。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
ブロードン・アンド・ビルド理論とは?まず意味をわかりやすく解説

ブロードン・アンド・ビルド理論(Broaden-and-Build Theory)は、
アメリカの心理学者 バーバラ・フレドリクソン が提唱した、
「ポジティブ感情は人の視野を広げ、未来の力を育てる」という理論です。
まずは、この理論の“意味”を初心者にもわかりやすく整理していきます。
ポジティブ感情が“視野を広げる”とはどういうことか?
私たちが 嬉しい・安心する・興味が湧く といった
ポジティブ感情 を感じているとき、脳は“安全モード”に切り替わります。
すると、次のような変化が起こります。
- 物事を広い視点で見られる
- アイデアが浮かびやすくなる
- 他人への興味や協力的な態度が生まれやすくなる
- 新しい行動にチャレンジしやすくなる
つまりポジティブ感情は、心の中に
「あ、いろいろ試してみても大丈夫だ」
という余裕をつくり、思考と行動の幅を一気に広げるのです。
ネガティブ感情との違い(視野が狭くなる理由)
一方で、不安・怒り・恐怖 といったネガティブ感情を感じているときは、
脳は“危険モード”に入ります。
すると視野はぐっと狭まり、
「目の前の危険にだけ集中する」 という状態になります。
例えるなら――
- ネガティブ感情 → トンネルの中を走っているように視界が狭い
- ポジティブ感情 → 高い丘から景色を見渡すように広い視野になる
この対比こそがブロードン・アンド・ビルド理論の重要なポイントです。
提唱者バーバラ・フレドリクソンと理論の背景
この理論を作り上げたのは、ポジティブ心理学の第一人者 バーバラ・フレドリクソン博士。
彼女は研究の中で、
「なぜポジティブ感情は短いのに、人生に長期的な良い影響を与えるのか?」
という疑問を持ちました。
その結果、次の法則性を発見します。
- ① ポジティブ感情は人の視野を広げる(Broaden)
- ② 広がった行動が、未来の役に立つ“資源”を育てる(Build)
- ③ その資源がさらにポジティブ感情を生み出し、好循環をつくる
つまり彼女は、
「ポジティブ感情は“その瞬間だけの気分”ではなく、“未来の能力を育てる力”である」
と提唱をしたのです。
一文でまとめるとどうなる?
ブロードン・アンド・ビルド理論を一言でいうと…
「いい気分になると視野が広がり、その広がった行動が未来の自分を強くする」
これが、この理論の本質です。
ポジティブ感情が人生を変える理由|心理メカニズムを科学的に解説

ブロードン・アンド・ビルド理論の核となるのが、
「ポジティブ感情が“心と行動のメカニズム”をどう変えるのか」 という部分です。
ここでは、初心者でも理解できるように、
心理学で明らかになっている4つのメカニズムをやさしく解説します。
①注意・思考・行動が広がる「Broadening(拡張効果)」
ポジティブ感情は、まるで“心の筋肉をほぐすストレッチ”のように働き、
次の3つを一気に広げます。
- 注意が広がる:周りの情報に気づきやすくなる
- 思考が広がる:アイデアや選択肢が増える
- 行動が広がる:興味・挑戦・協力が自然に生まれる
たとえば、
機嫌の良い日には「いつもと違う道を歩いてみよう」と思えたり、
仕事でのアイデアが出やすくなったりします。
これが Broadening(視野の拡張効果)です。
②心の資源が育つ「Building(資源形成)」
視野が広がると、自然に行動パターンも増えます。
その結果、次のような“未来に役立つ資源”が育っていきます。
- 心理的資源:自信・自己効力感・レジリエンス
- 社会的資源:人間関係・信頼・協力のネットワーク
- 知的資源:知識・スキル・発見
- 身体的資源:ストレス耐性・回復力
ポジティブ感情は一瞬の“気分の良さ”で終わらず、
未来の自分の力を quietly(静かに)積み上げていきます。
これが 「Build(資源形成)」 の本質です。
③創造性・問題解決力・行動力が高まる仕組み
「視野の拡張」「資源の蓄積」が進むと、
次のような実生活レベルでの変化が起こります。
- 創造性が高まる:アイデアが連鎖的に浮かびやすくなる
- 問題解決力が上がる:一つの答えではなく複数の解決策が見える
- 行動力が上がる:心理的な余裕が生まれるため、行動までのハードルが下がる
特に「行動できない人」は、
“視野が狭い状態” に陥っていることが多いです。
ポジティブ感情は、それをほぐしてくれる最も自然な“心理ブースター”です。
④Undoing Effect(解消効果):ストレスのダメージを中和する力
ポジティブ感情にはもう1つ重要な作用があります。
それが Undoing Effect(解消効果) です。
ネガティブ感情が続くと、身体は次のような反応を示します。
- 心拍数の上昇
- 脈拍が速い
- 緊張で身体がこわばる
- 思考が硬直する
ポジティブ感情は、この“ストレス反応”を中和し、
身体の状態を短時間で元に戻してくれることが研究で確認されています。
つまり、ポジティブ感情は
「ストレスで傷ついた心と体の回復力を高める」
という、メンタル面でとても重要な役割を持つのです。
ブロードン・アンド・ビルド理論を支える代表的な研究・実験

ブロードン・アンド・ビルド理論は、ただの「良い話」ではなく、
多くの心理学研究に裏付けられた科学的な理論です。
ここでは、初心者でも理解しやすいように、
理論を支える象徴的な4つの研究を解説します。
①フレドリクソンの視野拡大実験
ポジティブ感情が視野を広げることを示した、最も有名な研究です。
実験の流れ(シンプル版)
- 被験者に「ポジティブ」「中立」「ネガティブ」の映像を見せる
- 映像視聴後に、視野テスト(何に気づけるか)を実施
- ポジティブ映像を見たグループは
最も多くの選択肢・視覚情報に気づいた
結論
- ポジティブ感情 → 注意が広がる → 選択肢が増える
- これが “Broadening(拡張効果)” の科学的証拠となった
まさに、理論の中心を支える研究です。
② ポジティブ映像によるストレス回復実験(Undoing Effect)
生理的ストレス(心拍)が、
ポジティブ感情によって“早く回復する”ことを示した名研究。
実験内容(わかりやすく)
- 人に軽いストレスを与える(心拍が上昇する)
- その後、
- ポジティブ映像
- 中立映像
- ネガティブ映像
を見せる
- 心拍数が元に戻るスピードを比較する
結果
- ポジティブ映像を見た人は、最も早く心拍が落ち着いた
これが Undoing Effect(解消効果) の裏付け研究であり、
「ポジティブ感情はストレスの毒性を中和する」という事実が判明した。
③「つながりの瞬間」が副交感神経を高める研究
ベサニー・E・コックらの研究では、
日常生活の中の 小さな“つながりの瞬間”
が心身にどう影響するかを調査しました。
ここでの“つながり”とは?
- 挨拶を交わした
- ちょっと笑い合った
- 感謝を伝えた
- 親切にしてもらった
こうした ごく小さなポジティブ経験 でも
- 副交感神経が活性化(リラックス状態)
- 幸福感が上がる
- 協力的な行動が増える
ということが分かりました。
つまり
「小さなポジティブ体験が、心身の健康と人間関係を豊かにする」
ことを示した重要な研究です。
④アップワード・スパイラル(好循環モデル)の実証研究
ブロードン・アンド・ビルド理論の応用ともいえる研究です。
アップワード・スパイラルとは?
- ポジティブ感情が増える
→ 視野が広がる
→ 行動が増える
→ 心理的資源が育つ
→ さらにポジティブ感情が増える
という 上向きの連鎖(好循環) のこと。
研究で分かったこと
- ポジティブ感情が多い人は
幸福度・創造性・健康状態・社交性 が長期的に高まりやすい - その変化は“1日の小さなポジティブ”から始まる
この研究は、
「ポジティブを増やすことが人生を長期的に良くする」
という理論の強力な根拠になっています。
なぜ不安やストレスで視野が狭くなるのか|ネガティビティ・バイアスとの関係

ブロードン・アンド・ビルド理論を理解するうえで欠かせないのが、
「なぜ人はネガティブになると視野が狭くなるのか?」
という仕組みです。
ここでは、脳の働き・進化心理学の観点から“視野が狭くなるメカニズム”をわかりやすく説明します。
脳が“危険モード”になると視野が狭まる仕組み
不安・怒り・恐怖などのネガティブ感情が強くなると、
脳の中で 扁桃体(へんとうたい) という部位が活性化します。
扁桃体は “危険を検知する警報装置” のような役割を持つため、
- 注意が一点に集中する
- 細かい情報が見えなくなる
- 判断が早い(しかし粗い)
- 行動が「戦う・逃げる」の2択になりやすい
という“緊急モード”になります。
例えるなら、
暗闇で何かが動いた瞬間、全神経をそこに集中させる
あの感覚です。
この状態では、自然に視野が狭くなり、柔軟性も失われます。
不安・緊張が「選択肢を見えなくする」科学的理由
ストレス下では、脳の前頭前野(思考や判断を司る部分)が働きにくくなります。
そのため、
- いつも思いつくはずの解決策が浮かばない
- 客観視ができない
- 悪い未来ばかり想像する
- 行動する気力が減る
といった状態になります。
つまり 「行動できない」のではなく、「行動が見えない」 のです。
行動力の低下は、
脳が“生存優先モード”に入っているという点が非常に重要です。
ネガティビティ・バイアスと進化心理学的背景
人間は ポジティブよりネガティブに反応しやすい性質(ネガティビティ・バイアス) を持っています。
その理由を進化心理学では次のように説明します。
- ポジティブを見逃しても死なない
- ネガティブを見逃すと死ぬかもしれない
そのため、人類は
「ネガティブ情報を優先して処理する脳」 を発達させてきました。
このバイアスのおかげで私たちの祖先は危険を回避できましたが、
現代では過剰に働くことが多く、
- SNSの悪い情報に反応しやすい
- ミスばかり気にしてしまう
- 未来が悲観的に見える
といった不便を生みます。

ポジティブ感情が偏りを中和する理由
ここで登場するのが ブロードン・アンド・ビルド理論 です。
ポジティブ感情は、
ネガティビティ・バイアスによって偏った状態を“ふわっと緩める”役割を持ちます。
- 心拍が落ち着く
- 前頭前野が働きやすくなる
- 視野が広がる
- 選択肢が見える
- 小さな行動が取りやすくなる
いわば、ネガティブで固まった心を
“温めて、ほぐす”心理的な作用 があるのです。
ポジティブ感情は、単なる「気分の良さ」ではなく
脳の偏りを正常化し、思考と行動を使いやすくする“調整機能”
だと言えます。
10種類のポジティブ感情|どんな感情が視野を広げるのか?

ブロードン・アンド・ビルド理論では、
ポジティブ感情は “大げさな喜び” だけではなく、
「日常のちょっとした良い気持ち」 でも十分に効果があると言われています。
提唱者バーバラ・フレドリクソンがまとめた 10種類の代表的ポジティブ感情 をもとに、
どんな感情が視野を広げるのかをわかりやすく解説します。
10種類のポジティブ感情との効果
フレドリクソンが示した10種類の感情を見ていきます。
① 喜び(joy)
- 嬉しい・楽しいという気持ち。
- 思考が軽くなり、新しい選択肢に気づきやすくなる。
② 感謝(gratitude)
- 誰かへの「ありがとう」。
- 人間関係のつながりを強め、他者への興味・協力行動が増える。
③ 安らぎ(serenity)
- 心が落ち着く・安心する状態。
- 脳を“安全モード”に切り替え、視野を最大限に広げる。
④ 興味(interest)
- 「もっと知りたい」という前向きな気持ち。
- 探索行動が増え、知識やスキルが育ちやすくなる。
⑤ 希望(hope)
- 「なんとかなるかもしれない」という未来への見通し。
- 落ち込みを和らげ、再挑戦しやすくなる。
⑥ 誇り(Pride)
「やればできた」と感じる達成感。
自己効力感が高まり、次の行動への意欲が生まれる。
⑦ 楽しさ・遊び心(Amusement)
クスッと笑う・面白いと感じる瞬間。
緊張がゆるみ、ストレスが軽くなる。
⑧ インスピレーション(Inspiration)
誰かの行動や作品に心を動かされ「自分もやってみたい」と思う感情。
行動意欲や創造性を押し上げる。
⑨ 畏敬(Awe)
自然や芸術など“大きなもの”に触れたときの「わぁ…」という感覚。
価値観が広がり、視点が大きくシフトする。
⑩ 愛(Love)
喜び・感謝・安心・つながりが同時に生まれる総合的なポジティブ感情。
人間関係の質を高め、長期的な心理的資源を最も強く育てる。
「愛」だけが複数のポジティブを統合する特別な理由
フレドリクソンは、10種類の中でも “愛(love)” を特別な感情として位置づけています。
その理由は…
- 喜び
- 感謝
- 安らぎ
- 興味
- つながり(connection)
などの複数のポジティブ感情を 一度にまとめて体験する状態 が「愛」だから。
例えるなら
愛は単独の感情ではなく、
“ポジティブ感情のオーケストラ” のようなもの。
そのため、愛には
- レジリエンス(回復力)を強める
- 健康に良い影響を与える
- 社会的資源(信頼・協力)を育てる
など、複数の“Build効果”があると言われています。
強いポジティブより“軽いポジティブ”のほうが効く場面
ブロードン・アンド・ビルド理論の特徴は、
「小さなポジティブでも十分に効果がある」 という点です。
なぜ小さなポジティブが効くのか?
- 大きな喜びは頻度が少ない
- しかし“小さな良い気分”なら毎日つくれる
- 蓄積すれば視野拡大 → 資源形成 → 好循環が生まれる
研究でも、
「日常の小さなポジティブ感情の積み重ねが、幸福とレジリエンスを大きく左右する」
ことが確認されています。
実生活で使える!ブロードン・アンド・ビルド理論の実践方法

ブロードン・アンド・ビルド理論の価値は、
「科学的に正しいだけでなく、日常で使える」 ところにあります。
ここでは、初心者でも今日から試せる、
“視野を広げるポジティブの作り方”を具体的に紹介します。
一瞬でポジティブを生み出す3つの行動
ポジティブ感情は、努力しなくても“少しの工夫”で生み出せます。
中でも再現性が高いのが次の3つ。
① 深呼吸+姿勢リセット
姿勢を整えるだけで副交感神経が働き、安らぎが生まれます。
→ 脳が“安全モード”に切り替わり、視野が広がりやすい。
② 外の景色を見る(自然・空・光)
自然の刺激は、人の心に微細なポジティブを生むことが実証済み。
→ 思考がほぐれ、探索行動が増える。
③ 誰かに軽い挨拶・感謝を伝える
わずか数秒のつながりでも、副交感神経が働き、つながりのポジティブが生まれる。
→ Kokらの研究でも効果が確認されている。
どれも1分以内でできる方法です。
「小さな成功体験」の積み上げがレジリエンスを育てる
ポジティブは、“成功した結果”として受動的に起こるものではありません。
むしろ 小さな成功体験をつくることで“能動的に生み出せる” 感情です。
小さな成功体験の例
- 10分でできるタスクを終える
- 机の上だけ片付ける
- いつものルートを少し変えて散歩する
- 朝にコーヒーを入れるなど、習慣に「お気に入り」を組み込む
これらの行動はすべて、
「やればできた」という自己効力感(心の資源)」
を育てます。
小さな成功体験 → 自信 → 行動が増える → また成功する
という アップワード・スパイラル(好循環) が自然に起こります。

感謝・つながり・興味を増やす日常テクニック
ポジティブ感情の多くは、次の3つから生まれます。
- 感謝
- つながり
- 興味
これらを増やす具体的な行動は、次のとおり。
①感謝を増やす
- 1日1つ「ありがたいこと」を書き出す
- コンビニで店員さんに「ありがとう」を言う
- 受け取った優しさを意識して思い出す
②つながりを増やす
- 短い挨拶を習慣化
- SNSなら、ポジティブなコメントを1つ残す
- 常連になれる場所を一つだけ作る(カフェ・小料理屋・バーなど)
③興味を増やす
- 新しい本を1ページだけ読む
- 行ったことのない店に入ってみる
- 「これは何でだろう?」を自分に投げかける
これらはすべて、
軽いポジティブを“作りやすくする仕組み” として機能します。
ビジネスでの応用例(創造性UP・ミス減・協力関係の強化)
企業やチームでも、ポジティブ感情の効果は非常に大きいです。
① 創造性が上がる
ポジティブ感情はアイデア生成を活性化するため、
企画・デザイン・問題解決の質が上がる。
② ミスが減る
視野が広がることで、周囲の細かい情報にも気づきやすくなる。
→ 注意欠陥によるミスが減る。
③ チームの協力が強くなる
感謝や承認が増えると、心理的安全性 が高まり、
意見が出やすくなり、衝突も建設的になる。
④ 会議の質が向上
冒頭に小さなポジティブを共有すると、
チーム全体の思考が柔らかくなり、議論が前向きになる。
よくある疑問|「ポジティブなら何でも良いの?」に答えるQ&A

ブロードン・アンド・ビルド理論は「ポジティブ感情は良い影響を生む」と説明しますが、
“どんなポジティブでもOK” ではありません。
ここでは、多くの人が誤解しやすいポイントをQ&A形式で整理します。
無理にポジティブになろうとすると逆効果?
結論から言うと、逆効果になることがあります。
理由
無理やりポジティブを作ろうとすると、
- できない自分を責める
- 「ポジティブでいなきゃ」というプレッシャーがかかる
- かえってストレスが増える
といった悪循環が起こります。
大事なのは
“小さなポジティブを自然に増やす” ことであり、
感情の上塗りではありません。
研究でも、
「抑圧された感情は認知資源を奪い、視野を狭める」
とわかっています。
ネガティブは悪いわけではない(役割の違い)
ネガティブ感情には、
「危険から身を守る」という重要な役割 があります。
例
- 不安 → リスク察知
- 怒り → 不当な扱いに対抗する準備
- 恐怖 → 危険回避
ネガティブは「害」ではなく、
“防御システムとしての必要な機能” なのです。
ブロードン・アンド・ビルド理論のポイントは、
ネガティブを否定するのではなく、
ポジティブとのバランスで人生の質が変わる 点にあります。
軽いポジティブでも効果がある理由
研究で重要視されているのは、
感情の強さより「頻度」と「継続性」 です。
軽いポジティブでも以下の効果が確認されています。
- 探索行動が増える
- 他者とのつながりが増える
- ストレス回復が早くなる
- レジリエンス(回復力)が育つ
つまり、
特別な幸せを感じる必要はなく、
“日常のささいなポジティブの積み上げ” が人生を変える
というのがブロードン・アンド・ビルド理論の魅力です。
科学的に効果が弱い「間違ったポジティブ思考」
一般的な自己啓発で言われがちな
- 「とにかく前向きに考えれば何とかなる」
- 「ネガティブは禁止」
といった考え方は、科学的にはあまり支持されていません。
理由
- 現実否認になる
- 具体的な行動が伴わない
- 認知的ゆがみが増えて、判断力が落ちる
ブロードン・アンド・ビルド理論は、
“根拠のないポジティブ思考”を推奨していません。
必要なのは、
- 現実を受け止めつつ、
- 小さなポジティブを積み上げ、
- 心の資源(レジリエンス・人間関係・柔軟性)を育てる
という 科学的なプロセス です。
まとめ|ポジティブ感情は未来の“心理的資源”を育てる

ブロードン・アンド・ビルド理論の本質は、
「ポジティブ感情は、その瞬間だけでなく“未来の自分”を強くする」
という点にあります。
視野の広がり → 行動の増加 → 心の資源が蓄積 → 未来が変わる
という “好循環” が起こるしくみを、ここでシンプルに整理します。
今日からできる最小ステップ
難しいことは必要ありません。
小さく・軽く・続ける ことが最大のポイントです。
1日の中で「小さなポジティブ」を1つだけ増やす
例:
- コーヒーの香りを楽しむ
- 深呼吸を3回する
- 外の光を見る
- 誰かに一言だけ感謝する
これだけで
視野拡大 → 思考の柔軟化 → 行動の増加 が始まります。
無理なポジティブは不要
“自然に生まれる微細なポジティブ”こそが、
最も効果的で再現性の高いエネルギー源です。
理論を理解するとメンタルが軽くなる理由
ブロードン・アンド・ビルド理論は「感情のしくみ」を説明してくれるため、
次のような心理的メリットがあります。
- 不安や焦りで視野が狭くなる理由が“科学的にわかる”
- 今の気分が永続するわけではないと理解できる
- 小さなポジティブを増やすと、どんな長期的メリットが生まれるのかが分かる。
- 現実的かつ優しい方法でメンタルを整えられる
つまり、
「ネガティブでもOK。少しのポジティブで未来は変えられる」
という希望が持てるのです。
他の心理学理論とのつながり(レジリエンス・幸福研究など)
ブロードン・アンド・ビルド理論は、
他の主要な心理学理論とも深くつながっています。
レジリエンス(心の回復力)
ポジティブの蓄積が、
ストレスからの回復力を大きく高める。
幸福研究(Well-being)
幸福度の高い人ほど「軽いポジティブの頻度」が多いことが実証されている。
社会的つながりの理論
愛・感謝・優しさは、人間関係の質を高め、
長期的な心理資源(信頼・サポート)を育てる。
マインドフルネス・ACT
「感情に巻き込まれずに、今ここを体験する」
という姿勢が、ポジティブの生まれやすい土台になる。
最後にひとこと
ブロードン・アンド・ビルド理論を一文でまとめるなら、
“小さなポジティブが、未来の自分を強くする”
というシンプルなメッセージに集約されます。



