職場の人間関係、うまくいかなくてモヤモヤしていませんか?
「言いたいことがうまく伝えられない…」
「NOと言いたいのに、我慢してしまう」
「つい感情的になって後悔する…」
そんな悩みを抱えている方に知ってほしいのが、アサーティブ・コミュニケーションという伝え方のスキルです。
アサーティブとは、自分の気持ちや意見を大切にしながら、相手も尊重する伝え方のこと。これを身につけると、気まずくならずに本音を伝えることができます。
この記事では、アサーティブの意味や心理学的な考え方、職場での具体的な会話例、実践のコツまでわかりやすく解説しています。ドラえもんの例を交えて楽しく学べる工夫もしていますよ。
人間関係のストレスを減らしたい方は、ぜひ最後まで読んでくださいね。
アサーティブ・コミュニケーションとは?意味と基本の考え方

アサーティブとは?自己主張と尊重のバランス
「アサーティブ」とは、自分の気持ちや意見を素直に伝えつつ、相手の気持ちや立場も尊重するコミュニケーションの方法です。
たとえば、「上司にムリな残業を頼まれたとき」
- 断ると怒られるかも…と無理に引き受けてしまう(=非主張的)
- キレ気味に「無理です!」と言ってしまう(=攻撃的)
このどちらでもないのがアサーティブ。
「すみません。今日は家族の事情で早く帰る必要があるんです。明日の朝、早めに来て対応します」
というように、自分の事情を伝えながらも、相手の仕事の都合も考慮した言い方をします。
ポイントは「自己主張」+「相手への配慮」のバランス。
どちらか一方に偏るのではなく、対等な関係を築くためのスキルです。
非主張的・攻撃的・アサーティブの3タイプ
アサーティブ・コミュニケーションを理解するには、以下の3つのタイプを知っておくとわかりやすいです。
① 非主張的(ノン・アサーティブ)
- 自分の気持ちを言えずに我慢する
- 「いいよ、私は大丈夫」と本音を押し殺す
- 後からモヤモヤが残ることが多い
② 攻撃的(アグレッシブ)
- 相手を責めたり、自分の意見を押しつける
- 「何でこんなこと頼むの?非常識じゃない?」など、相手を否定する言い方
- トラブルや関係悪化の原因になりやすい
③ アサーティブ
- 自分の意見や希望を率直に伝えつつ、相手の立場も考慮する
- 「私はこう思います。あなたはどうですか?」という建設的な対話
この3タイプは、どれが良い・悪いという話ではなく、場面に応じてどう使い分けるかが重要。
ただし、職場のような協働の場ではアサーティブな対応が長期的に信頼関係を築きやすいとされています。
心理学におけるアサーション理論とは?(Iメッセージ・DESC法)
アサーティブ・コミュニケーションの理論的なベースは、アサーション理論(アサーション・トレーニング)にあります。
これは1970年代にアメリカで確立された心理学的手法で、日本でもカウンセリングやビジネス研修で広く活用されています。
主な技法は以下の2つです:
✅ Iメッセージ
- 「あなたが悪い」ではなく「私はこう感じた」と自分の感情を主語にして伝える方法
- 例:「あなたが遅刻したせいで困った」→「私は予定が狂って戸惑ってしまった」
✅ DESC法(デスク法)
アサーティブに伝えるための4ステップ法です:
- D(Describe)事実を描写する
例:「今週3回、会議に遅刻していました」 - E(Express)気持ちを伝える
例:「私は時間を守ることを大事にしているので、不安を感じました」 - S(Specify)望む行動を具体的に伝える
例:「次回から時間通りに参加してもらえると助かります」 - C(Choose)相手の反応に応じた選択肢を持つ
例:「もし無理なら、事前に連絡をいただけるとありがたいです」
このようにアサーティブな伝え方は、単なる気合やセンスではなく、理論と技術で学べるスキルなのです。

なぜ職場にアサーティブ・コミュニケーションが必要なのか

職場でよくある人間関係のストレス
職場では、上司・部下・同僚などさまざまな立場の人と関わるため、意見の衝突やすれ違いによるストレスが生まれやすい環境です。
たとえばこんな場面、思い当たりませんか?
- 「頼まれたけど断れずに無理してしまった」
- 「同僚の言い方がキツくてモヤモヤ」
- 「自分の意見が通らず不満がたまっている」
このようなストレスの多くは、「うまく伝えられない」「理解されない」というコミュニケーションのズレから生まれます。
だからこそ、お互いを尊重しながら建設的に伝える方法=アサーティブ・コミュニケーションが重要になります。
「言いづらいこと」が伝えられない理由とは?
職場で本音を言えずに我慢してしまう人は多いです。
その背景には、以下のような心理的ハードルがあります。
- 「空気を壊したくない」という同調圧力
- 「嫌われるのが怖い」という対人不安
- 「自分が我慢すれば丸く収まる」という思い込み
これらは一見、協調的な姿勢に見えますが、自己犠牲が習慣化すると心身に大きな負担がかかります。
そしてそのストレスが、遅刻や欠勤・不満の爆発・突然の退職など、職場全体の問題に発展することも。
「言いづらいことほど、伝え方が大事」なのです。
我慢・遠慮・感情的な対応のリスク
アサーティブでない対応には、次のようなリスクがあります。
① 我慢・遠慮しすぎると…
- 自分の意見が無視される
- 不満やストレスが蓄積し、バーンアウト(燃え尽き)につながる
- 「都合のいい人」として扱われる可能性も
② 感情的に反応すると…
- 相手との関係が悪化しやすい
- 意図が伝わらず、誤解や対立が深まる
- トラブルの原因として評価に影響することも
このような事態を防ぐためには、相手と建設的な関係を築く「伝え方の技術」=アサーティブ・コミュニケーションが必要なのです。
職場で使えるアサーティブ・コミュニケーションの会話例

職場では、上司や同僚、部下とのやりとりの中で、「言いづらいけど伝えたい」という場面が多々あります。
そんなときに役立つのが、アサーティブな伝え方。
ここでは、実際に使えるフレーズや会話例をシチュエーション別に紹介します。
上司にNOを伝えるときの言い方
上司からの指示に対して「今は難しい」と断りたいけれど、ただ「できません」と言うのは勇気がいりますよね。
そんなときは、理由と代替案を添えるのがポイントです。
例:急ぎの仕事を抱えていて追加依頼を断る場合
「〇〇の作業が本日の締め切りで、そちらを優先したいのですが、△△の件は明日の午前中であれば対応できます。」
- 自分の状況を客観的に伝える
- 相手の要望にできる範囲で応じる姿勢を見せる
これだけで、印象がまったく違ってきます。
同僚に依頼・断りを伝えるときの表現例
同僚に何かをお願いしたり、頼まれごとを断る場面でも、感情的にならず冷静に伝えることが大切です。
例①:同僚に作業分担をお願いしたいとき
「この資料のまとめ、〇〇さんの方が内容に詳しいので手伝ってもらえると助かるんだけど、どうかな?」
例②:急な依頼をやんわり断るとき
「ちょっと今手一杯で、今日は難しそう…。明日なら時間が取れると思うけど、どうかな?」
- 相手を立てる言い回し
- 「お願い」ではなく「相談」ベースで話す
ことで、関係性を崩さずにやりとりできます。
感情的にならずに意見を伝えるフレーズ
意見がぶつかりそうな場面でも、Iメッセージ(私は〜と感じている)を使うと、印象が柔らかくなります。
例:会議で意見が割れたとき
「私は、○○という点でこの案がリスクになるかもと感じました。もう少し検討したいのですが、皆さんはどう思いますか?」
このように、「あなたは間違っている」ではなく「私はこう考える」と伝えることで、対立ではなく対話が生まれます。
「のび太とジャイアン」で学ぶアサーション例(ドラえもん事例)
ドラえもんのキャラクターは、アサーティブの3タイプを理解するのにぴったりです。
- のび太=非主張的タイプ
→「言いたいことがあるけど言えずに我慢してしまう」 - ジャイアン=攻撃的タイプ
→「自分の主張を一方的に押しつける」 - しずかちゃん=アサーティブタイプ
→「相手の気持ちも考えつつ、自分の考えも伝える」
例えば、ジャイアンが無理やりゲームを貸せと言ったとき、のび太は黙って貸してしまいますが、
しずかちゃんならこう言うかもしれません。
「ごめんなさい、今日は他の人に約束していて…。また別の日なら貸せるわ」
このようなやりとりからも、「アサーティブ」とは優しさと自己主張のバランスであることがわかります。
アサーティブに話すコツと実践トレーニング法

アサーティブ・コミュニケーションは、知識だけでなく練習によって身につくスキルです。
ここでは、具体的な伝え方の技術と、日常でできるトレーニング方法をご紹介します。
Iメッセージの使い方
「Iメッセージ」とは、自分の感情や考えを「私は〜」という主語で伝える方法です。
NG例:「あなたのやり方、間違ってるよ!」
↓
OK例:「私は、その方法だとリスクが高いかもと感じました」
ポイントは以下の通り:
- 「あなた」ではなく「私」を主語にする
- 相手を責めず、自分の気持ちを伝える
- 感情を冷静に言語化する(例:「〜と不安に感じました」)
この話し方は、対立を避けながら意見を伝える際に特に効果的です。
DESC法(デスク法)で伝える4ステップ
DESC法は、アサーティブな伝え方の中でも非常に有名なフレームワークです。
4つのステップを意識することで、落ち着いて論理的に伝えることができます。
- D(Describe)=事実を伝える
例:「最近、会議中に話を遮られることが続いています」 - E(Express)=気持ちを伝える
例:「正直、少し話しづらいと感じています」 - S(Specify)=具体的な要望を伝える
例:「発言の最後まで聞いてもらえると嬉しいです」 - C(Consequences)=結果・効果を伝える
例:「その方が議論もスムーズになると思います」
DESC法は、クレームではなく要望を伝える力を高める実践的な方法です。
すぐにできるセルフトレーニング方法
アサーティブな話し方は、毎日のちょっとした意識で少しずつ身につきます。
以下のようなセルフトレーニングを日常に取り入れてみてください。
✅ 1. 今日の「言いにくかったこと」を振り返る
- どんな場面で黙ってしまったか
- 言えたけど、攻撃的になってしまった場面は?
→日記やメモに書き出すことで、自分の傾向やクセが見えてきます。
✅ 2. アサーティブな「言い換え」を考える練習
- 「イラッとした言葉」を、IメッセージやDESC法に変換してみる
- 例:「なんで手伝ってくれないの?」
→「私は少し大変に感じていて、手伝ってもらえると助かるなと思ってます」
✅ 3. 鏡に向かって話す練習
- 落ち着いたトーンと表情で話す練習をする
- 表情・姿勢・声のトーンは、言葉以上に相手に影響を与えます
職場でアサーティブに話すときの注意点とNG例

アサーティブ・コミュニケーションは効果的な伝え方ですが、誤解されたり、逆効果になることもあります。
ここでは、職場で使う際に注意すべきポイントと、ありがちなNG例を解説します。
「アサーティブ=何でも主張」ではない
アサーティブという言葉を、「言いたいことを全部言ってOK」と誤解する人もいます。
しかし、アサーティブとは「自己主張しつつも、相手の立場も尊重する」ことです。
✅ OKなアサーション例:
「私はこの点に違和感がありますが、他の意見も聞きたいです」
❌ NGな主張の仕方:
「私は納得いかないから、絶対にこのやり方には従えません!」
→これは自己主張というよりただの押し付けや拒絶になってしまいます。
相手の立場を無視した主張は逆効果
いくら丁寧に伝えても、相手の立場や状況を無視してしまうと、配慮のない印象を与えてしまいます。
たとえば:
- 繁忙期に「定時で帰ります」とだけ伝える
- 上司の意向を完全に無視して自分の提案を通そうとする
こうした言動は、「自己中」や「協調性がない」と受け取られるリスクがあります。
✅ 意識したいポイント:
- 相手が何に配慮しているのかを想像する
- 自分の主張とセットで、相手のメリットや共通の目標を伝える
態度・口調・タイミングも重要
アサーティブな言葉づかいをしていても、態度や話すタイミングが悪ければ逆効果になります。
❌ こんなNG例:
- 腕を組んで無表情で「私はこう思います」
- 皆が急いでいるときに長々と主張する
- 感情的になって声が荒くなる
✅ 意識すべきポイント:
- 穏やかなトーン・開かれた姿勢を保つ(表情・アイコンタクトも大切)
- 会話のタイミングを選ぶ(昼休み・1対1・落ち着いた場面が理想)
- 深呼吸や間を入れて、落ち着いて話す
まとめ|人間関係がラクになる伝え方を身につけよう

職場の人間関係は、コミュニケーションの質次第で大きく変わります。
アサーティブ・コミュニケーションを意識することで、ただ「伝える」だけでなく、「伝わる」「関係が良くなる」伝え方ができるようになります。
無理せず伝える力は習得できる
「アサーティブなんて、自分には無理」と思うかもしれません。
でも、安心してください。アサーティブな伝え方は訓練次第で誰でも身につけられます。
✅ 最初はぎこちなくてもOK
✅ 完璧を目指さず、「ちょっと意識してみる」だけでも効果あり
✅ 慣れると自然に、自分にも相手にも優しい言い方ができるようになります
まずは身近な場面から少しずつ実践を
最初から上司やクライアント相手に実践するのは難しい場合もあります。
そんなときは、以下のような身近な場面から始めてみましょう。
- 家族や友人とのちょっとした頼みごと
- コンビニでの「レシートください」など簡単な主張
- チーム内での小さなお願いや断り
小さな成功体験の積み重ねが、自信につながります。