ネット上には多くのネガティブな情報が溢れ、それに触れることで私たちは不安やストレスを感じやすくなります。
特にSNSやニュースサイトでは、無意識のうちに心が疲弊してしまうことが多いです。
この記事では、ネットのネガティブな情報に振り回されないための「見ない習慣」の作り方と「スルー力」の高め方について、具体的な対策を紹介します。
ネガティブな情報に影響されず、心の健康を保ちながら情報収集を行えると、ストレスを軽減し、日々をより前向きに過ごせるようになります。
ネットのネガティブな情報が心に与える影響
ネットのネガティブな情報を目にすると、多くの人は不安感や怒りを感じます。
特に、SNSやネットニュースでは日々大量の情報が流れてくるため、知らず知らずのうちにストレスが蓄積しやすくなります。
これが続くと、生活全体に悪影響を与え、集中力の低下や気分の落ち込みを招くことがあります。
また、ネガティブなニュースに敏感になることで、自分自身の未来に対する不安が強まることも少なくありません。
これに対処するには、①余計なネガティブ情報を見ない習慣を作ったり、②うまくネガティブ情報を受け流すスルー力を高めることが大切です。
【ネガティブバイアス】人はネガティブ情報に注目しやすい
ネガティブバイアスとは、人間がポジティブな情報よりもネガティブな情報に対して強く反応し、優先的に記憶したり、影響を受けたりする心理的な傾向のことを指します。
これは進化の過程で生じた自然な反応であり、生存に関わる危険や脅威に敏感であることが有利だったためと考えられています。
以下にネガティブバイアスの特徴を説明します。
- ネガティブな出来事の影響が大きい: ポジティブな出来事よりも、ネガティブな出来事や情報が強く記憶される。例えば、100の称賛を受けても1つの批判が大きなダメージを与えることがある。
- 判断や意思決定に影響する: 人はネガティブな情報に基づいて行動することが多く、リスクを回避しようとする傾向が強い。たとえば、投資やビジネスの意思決定で、リスクを避けるためにチャンスを逃すことがある。
- 感情的な反応が強い: ネガティブな出来事や感情に対して、ポジティブなものよりも強い感情的な反応を示す。これにより、怒りや悲しみ、恐怖といった感情が長く続くことがある。
- 情報収集の偏り: 人はネガティブなニュースや情報に引き寄せられやすく、自然とポジティブな情報よりもネガティブな情報を多く集めてしまう傾向がある。このため、ニュースやソーシャルメディアでネガティブな話題にばかり接触することが多い。
- 関係性への影響: 人間関係でも、ネガティブな出来事や言動がポジティブなものよりも強く印象に残るため、些細な喧嘩や不快な出来事が関係を悪化させることがある。
ネガティブバイアスの悪影響を減らすには？
ここでは、ネガティブバイアスの悪影響を減らすための具体的な方法を紹介します。
1. ネガティブな思考をリフレームする
ネガティブな出来事に直面したとき、そのまま悪い方向に考えるのではなく、リフレーム（考え方を切り替える）を意識してみましょう。
実践方法：
たとえば、仕事でミスをしたときに「自分はダメだ」と感じるのではなく、「これを学びに変えて次に活かせるチャンス」と考えるようにします。
失敗から得られる教訓や新しい視点を見つけることで、ネガティブな出来事の悪影響を減らすことができます。
2. ポジティブな出来事を意識的に記録する
日常の中で起きたポジティブな出来事に目を向ける習慣を作ることで、ネガティブバイアスの影響を軽減できます。
実践方法：
毎日、寝る前にその日あった良いことを3つ書き出す「3つの良いこと」という方法があります。
大きな出来事でなくても構いません。
たとえば「美味しいコーヒーを飲んだ」や「友達と楽しい会話をした」といった、小さな喜びを積み重ねることで、心がポジティブに傾きます。
①余計なネガティブ情報を見ない習慣
ネガティブな情報を避けるためには、日常の中で「見ない習慣」を作ることが必要です。
ここでは、ネガティブな情報を見ないための具体的な方法をご紹介します。
プライベート用とビジネス用のパソコンを分ける
仕事中にネガティブなニュースを見てしまうと、集中力が低下したり、気分が沈んでしまうことがあります。
そのため、ビジネス用とプライベート用のパソコンを分けることで、仕事に専念しやすくなります。
ビジネス用のパソコンでは、ニュースサイトやSNSの閲覧を控え、必要な業務に集中しましょう。
たとえば、「仕事中はニュースサイトを開かない」「SNSの通知をオフにする」といったルールを決めておくと効果的です。
このように、仕事とプライベートを分けることで、作業に集中しやすくなります。
ポジティブな活動を意識的に増やす
ポジティブな活動を意識的に増やすことは、心の健康を保つために非常に効果的です。
特に、運動や趣味に時間を使うことは、気分転換に大いに役立ちます。
運動は体を動かすことで、ストレスを軽減し、エンドルフィンという「幸福ホルモン」が分泌され、心のリセットに繋がります。
散歩やヨガなど、気軽に始められる運動でも効果は十分です。
また、趣味に没頭する時間を作ることも有効です。
絵を描いたり、音楽を聴いたり、読書をするなど、好きなことに集中することで、ネガティブな情報から気をそらし、心の中にポジティブなエネルギーを取り込むことができます。
こうした活動を日常に取り入れることで、ネガティブな情報に囚われる時間が減り、精神的な安定感が増すでしょう。
心地よい環境を作る
心地よい環境を作ることは、心のリラックスや気分の改善に大きく役立ちます。
私たちは、環境が心に与える影響を無意識に受けているため、居心地の良い空間を整えることは、ストレスを減らし、リラックスするために重要です。
例えば、部屋を片付けたり、観葉植物を置いたり、好きな香りのアロマを使うことで、リラックス効果を高めることができます。
さらに、自然光を取り入れることや、静かな音楽を流すことも、心を落ち着ける効果があります。
このように、自分にとって快適な空間を意識的に作ることで、ネガティブな感情を軽減し、日々の疲れを癒すことができ、気分の改善にもつながります。
ネット断ち：メリットと注意点
「ネット断ち」とは、一時的にネットから離れることで心をリセットし、精神的な安定を図る方法です。
ネットから距離を置くことで、過剰な情報に圧倒されることなく、自分自身と向き合う時間を増やせます。
特に、ネガティブなニュースが多い時期には、このネット断ちが効果的です。
メリットとしては、ストレスの軽減や集中力の向上が挙げられますが、注意点もあります。
例えば、仕事や日常生活で必要な情報まで遮断してしまうと、逆に不安感が増す可能性もあるため、バランスが重要です。
ネット断ちを行う際は、計画的に期間を決めて行うことをおすすめします。
情報のフィルタリング
情報のフィルタリングをしてネガティブニュースを見ないようにするための方法を、以下に箇条書きでまとめました。
- ニュースアプリのカスタマイズ: 興味のあるポジティブな分野（趣味、学び、テクノロジーなど）のみをフィードに表示するように設定する。
- 特定のキーワードをミュート: ソーシャルメディアやニュースアプリで「事故」「災害」「犯罪」などネガティブなキーワードをフィルタリング設定する。
- 通知をオフにする: ニュースアプリやソーシャルメディアの通知をオフにして、情報が自動的に入ってくるのを防ぐ。
- 時間制限を設定する: 情報収集のためにアプリやウェブサイトを利用する時間を制限し、長時間ネガティブな情報に接触しないようにする。
- 特定のニュースサイトをブロック: ネガティブニュースが多いサイトやソーシャルメディアアカウントをブロック、またはフォロー解除する。
- ポジティブなニュースサイトを利用: ハッピーニュースやポジティブなトピックに特化したニュースサイトやブログをメインに利用する。
- ソーシャルメディアのフィード整理: フォローしている人やグループの中でネガティブな情報を頻繁に発信する人をミュートまたはアンフォローする。
- ニュースのタイムラインを避ける: 主要ニュースサイトやSNSのトップページにあるニュースタイムラインを見ないようにする。
- ニュースレターやRSSでポジティブなコンテンツを購読: 好きなテーマや分野のポジティブなニュースを発信しているニュースレターやRSSフィードを購読し、直接メールで受け取る。
②うまくネガティブ情報を受け流すスルー力を高める
私たちは日常生活の中で、多くのネガティブな情報に直面します。
ニュースやSNSで見かける嫌な出来事や批判的なコメントに心を乱されてしまうことは、誰にでもある経験でしょう。
しかし、これらのネガティブ情報に振り回されないためには、「スルー力」、すなわち受け流す力を高めることが重要です。
今回は、その具体的な方法についてご紹介します。
1. ネガティブ情報を「分ける」意識を持つ
まずは、ネガティブ情報を受けたときに、それが本当に自分に影響を与えるべきものかどうかを判断することが大切です。
例えば、SNS上の知らない人からの批判や、遠くで起きているニュースなどは、直接あなたの生活に影響を与えないことがほとんどです。
情報を受け取ったら、それを以下のように2つに分けて考えてみましょう。
- 重要なネガティブ情報: あなたの仕事や人間関係に直接関わる問題。これに対しては、対処が必要です。
- 無視できるネガティブ情報: あなたの生活に大きな影響を与えないもの。これらは気にする必要はありません。
このように情報を「分ける」ことで、どれにエネルギーを使うべきかが明確になり、無駄に悩むことが減ります。
2. 時間を置く習慣をつける
ネガティブ情報を受け取った瞬間は、どうしても感情的に反応してしまいがちです。
しかし、その時点で反応せずに、時間を置くことで冷静に対処できるようになります。
次のような方法で、意識的に時間を置く練習をしましょう。
- 深呼吸をする: ネガティブなコメントやニュースを見た瞬間、まずは深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。これだけでも感情的な反応を抑える効果があります。
- 時間をおく: すぐに返答やリアクションをしないで、一晩置いてから対処します。冷静になる時間を作ることで、冷静に判断できます。
- どうしても気になることは記録して後で考える: ネガティブな感情が湧いたとき、その気になっていることを紙やメモアプリなどに書き出して、後で考えることにします。時間が経つと、冷静に判断できるようになったり、気になっていたことがどうでも良くなったりします。
3. 自分の感情を俯瞰する
ネガティブ情報に触れたとき、瞬間的に感情的になりやすいですが、その感情を俯瞰（ふかん）して見るスキルを磨くと、反応をコントロールしやすくなります。
俯瞰とは、自分の感情を一歩引いて客観的に観察することです。
- メタ認知の意識: 自分が今「怒っている」「悲しい」と感じていることを、そのまま受け入れて観察します。「自分は今、怒りを感じているな」というように、一歩引いて自分の感情を観察することで、冷静さを保てます。
- 長期的に考える：今の自分のネガティブ感情が1年後や10年後も続いているかを考えます。また、長期的に考えて今のネガティブに感じる出来事がどのくらいの影響力があるかを考えてみます。
ネガティブ感情を人ごとのように受け流すステップ
ネガティブな情報を見たとき、つい感情的に反応してしまうのは自然なことです。
「自分も同じ状況に陥ったらどうしよう」「なぜこんなひどいことが起きるのだろう」と、心配や不安が次から次へと湧いてきますよね。
ですが、このような情報に一々反応していると、心が疲れてしまいます。
そこでおすすめなのが、人ごとのように受け流す技術です。
どうやって感情を受け流すか、その具体的な方法を紹介します。
ネガティブな情報を見たとき、自分が感情的に反応してしまうのを避けるには、まず「自分は観察者だ」という意識を持つことが大切です。
つまり、目の前で起きていることを、まるで映画のシーンを見ているように受け取るのです。
これは、「自分の感情に直接関わっているわけではない」と心に言い聞かせることで、感情の嵐に巻き込まれないようにする技術です。
例えば、映画の登場人物が大変な目に遭っているシーンを見ても、実際にはあなたに何の危険もありません。
それと同じように、ネット上のネガティブな情報も「自分とは関係ない」と考えると、反応を抑えることができます。
感情的に反応しやすい時は、ネガティブな情報から距離を置くことも重要です。
SNSやニュースアプリを閉じる、スマホを一時的に手放すなどして、心をリフレッシュしましょう。
たとえば、「今日は30分だけニュースを見て、それ以外の時間は見ない」といった具合にルールを作るのも良い方法です。
最初は難しいかもしれませんが、訓練することで受け流す力は身についていきます。
たとえば、気になるニュースを見たときに「自分は今、どう感じているか」を冷静に観察し、「これは自分には関係ない」という意識を何度も持つことが大切です。
何度か繰り返すことで、少しずつ感情的に反応しなくなる自分に気づくでしょう。
ここで注意してほしいのは、「ネガティブな情報を無視すればいい」というわけではないということです。
世界中で起きている出来事を完全に無視するのではなく、必要な情報だけを適切に受け取るための心構えが大事です。
つまり、重要な情報は冷静に理解しつつも、それが感情に過度に影響を与えないようにバランスを取ることが必要です。
無理に鈍感にならなくても、適度に距離を置いて情報を処理することで、心の健康を守ることができます。
マインドフルネスや瞑想を取り入れる
マインドフルネスや瞑想は、心を落ち着かせ、ネガティブな情報に過剰に反応しないための効果的な方法です。
呼吸に集中し、心をリセットすることで、ストレスの軽減や精神の安定が図れます。
毎日数分でもマインドフルネスや瞑想を行うことで、心のバランスが整い、ネガティブな感情に左右されにくくなるでしょう。
瞑想を取り入れるための基本的な手順とポイントを以下に表でまとめました。
| 方法 | 時間 | 手順 |
|---|---|---|
| マインドフルネス呼吸法 | 5分～10分 | 呼吸に意識を向け、深くゆっくりと呼吸する |
| ボディスキャン瞑想 | 10分～15分 | 体の各部位に注意を向け、体の感覚に集中する |
| 瞑想アプリの活用 | 5分～15分 | 専用アプリを使い、ガイド付きで瞑想を行う |
まとめ
ネット上のネガティブな情報に振り回されず、心の健康を保つためには、日常の中で意識的に取り組むことが重要です。
以下に、この記事で紹介した重要なポイントをまとめました。
1. ネガティブな情報を見ない習慣を作る
- ビジネスとプライベートを分けて、必要のない情報を遮断する
- ポジティブな活動や趣味に時間を使い、気分をリフレッシュする
- 心地よい環境を作り、ストレスを軽減する
2. ネガティブ情報を受け流すスルー力を高める
- ネガティブ情報を重要と無視できるものに分ける
- 時間を置いて冷静に判断する
- 自分の感情を俯瞰し、客観的に観察する
3. マインドフルネスや瞑想で心のバランスを整える
- マインドフルネス呼吸法やボディスキャン瞑想でリラックスする
- 瞑想アプリを活用して、気軽に毎日の瞑想を取り入れる
