「カスタマージャーニーって、結局なに?」
そんな疑問を感じたことはありませんか?
- 用語の意味があいまいなまま使っている
- ファネルやAIDMAとの違いがよく分からない
- 施策や記事を書いても、どこか手応えがない
この記事では、カスタマージャーニー(=顧客が知ってから選ぶまでの行動と心理の流れ)を、まったくの初心者でも理解できるように、例え話を交えながら丁寧に解説します。
なぜ今この考え方が重要なのか、他の分析手法と何が違うのか、実務やブログでどう役立つのかまで、順番に整理していきます。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
カスタマージャーニーとは何か?まずは意味をシンプルに理解しよう

「カスタマージャーニー」という言葉を聞くと、
なんとなく難しそう、マーケティングの専門用語っぽい、
そんな印象を持つ人も多いかもしれません。
ですが、考え方自体はとてもシンプルです。
カスタマージャーニーの基本的な定義
カスタマージャーニーとは、
顧客が商品やサービスを知り、興味を持ち、迷い、選び、行動するまでの一連の流れのことです。
ポイントは、
- いつ
- どんな行動をして
- 何を考え
- どんな気持ちで判断しているか
この時間の流れ(プロセス)を見る、という点です。
一言でいうと「顧客の行動と心理の流れ」
一言でまとめると、カスタマージャーニーは
「顧客の行動と心理の流れ」
です。
たとえば、あなた自身が何かを買うときを思い出してください。
- 「これ、ちょっと気になるな」
- 「他にも似た商品あるかな?」
- 「自分にもできるかな?」
- 「まあ、一回試してみよう」
こうした頭の中の動きと、
検索・比較・購入といった実際の行動がセットになって進んでいきます。
この流れ全体を捉えるのが、カスタマージャーニーです。
なぜ「顧客の視点」で考える必要があるのか
ここで重要なのが、顧客の視点です。
多くの失敗は、次のような考え方から起きます。
- 「この商品は良いから売れるはず」
- 「情報はもう十分出している」
- 「あとは頑張って発信するだけ」
これはすべて、企業・発信者側の視点です。
一方、顧客の立場では、
- 情報が多すぎて迷っている
- 専門用語が分からず不安
- 自分に合っているか判断できない
といった別の世界が見えています。
カスタマージャーニーは、
このズレを埋めるための考え方とも言えます。

ここで押さえておきたいポイント
初心者のうちは、次の3点だけ覚えておけば十分です。
- カスタマージャーニー=顧客の体験の流れ
- 行動だけでなく、考えや感情も含めて見る
- 「売る側」ではなく、「選ぶ側」の目線に立つ
この理解ができるだけで、
その後のマーケティングやブログ設計の見え方が大きく変わります。
カスタマージャーニーが注目されるようになった背景

「カスタマージャーニー」という考え方は、
最近になって突然生まれたものではありません。
ただ、今の時代に合った考え方として再評価されている、というのが実情です。
なぜここまで注目されるようになったのか。
背景を3つの視点から整理してみましょう。
①購買行動が単純ではなくなった理由
昔は、商品を買うまでの流れが比較的シンプルでした。
- テレビCMを見る
- お店に行く
- 店員の説明を聞いて買う
このように、選択肢も情報源も限られていたのです。
しかし今は違います。
- 検索すると情報が無限に出てくる
- 比較記事やレビューも大量にある
- 正解が1つとは限らない
つまり、顧客は
「すぐに決められない状態」に置かれています。
この複雑な流れを理解するために、
カスタマージャーニーという視点が必要になりました。
②インターネット・SNS時代の情報収集の変化
今の顧客は、購入前にかなりの情報を集めます。
- Googleで検索する
- SNSで体験談を探す
- YouTubeでレビューを見る
- 比較記事を何本も読む
しかも、この順番は人によってバラバラです。
行ったり戻ったり、
途中でやめたり、
数日〜数週間迷うことも珍しくありません。
③企業視点のマーケティングが通用しにくくなった
もう一つ大きな理由があります。
それは、
企業が言いたいことだけを伝えるマーケティングが効きにくくなったことです。
顧客は今、
- 広告っぽい情報に警戒する
- 本音の体験談を重視する
- 自分で納得して選びたい
という姿勢を持っています。
そのため、
- 「何を伝えるか」より
- 「顧客がどう考えているか」
を理解しないと、
情報が刺さらなくなってきました。
カスタマージャーニーは、
この顧客主導の時代に対応するための考え方とも言えます。
まとめ
ここまでを整理すると、
- 購買行動が複雑化した
- 情報収集の経路が多様化した
- 企業視点だけでは判断されなくなった
この3つが重なった結果、
顧客の行動と心理を「流れ」で理解する必要性が高まりました。
それが、
カスタマージャーニーが注目されている最大の理由です。
カスタマージャーニーと混同されやすい用語との違い

カスタマージャーニーを学び始めると、
多くの人がここで混乱します。
- マーケティングファネル
- AIDMA
- AISAS
- カスタマージャーニーマップ
「結局、何がどう違うの?」
という疑問が出てくるのは、とても自然です。
ここでは、役割の違いに絞って整理します。
マーケティングファネルとの違い

マーケティングファネルとは、
見込み客が徐々に絞られていく様子を
漏斗(ファネル)型で表した考え方です。
例としては、
- 認知(Awareness)
- 興味・関心(Interest)
- 検討(Consideration)
- 購買・成約(Conversion)
といった、段階の整理が中心になります。
一方、カスタマージャーニーは、
- なぜ興味を持ったのか
- どこで迷ったのか
- どういう不安があったのか
といった、顧客の頭の中の動きまで含めて見ます。
AIDMA・AISASとの違い
AIDMAやAISASは、
購買行動を説明するための代表的なモデルです。
- AIDMA:
認知 → 興味 → 欲求 → 記憶 → 行動 - AISAS:
認知 → 興味 → 検索 → 行動 → 共有
これらは、
「人はだいたいこういう流れで買うよね」
という典型パターンを示したものです。
一方、カスタマージャーニーは、
- 必ずしも順番通りとは限らない
- 行き戻りや迷いも含めて考える
- 人や状況ごとの違いを重視する
という特徴があります。
👉
AIDMA・AISASは型(テンプレ)、
カスタマージャーニーは個別の実態を描く考え方
という位置づけです。

カスタマージャーニーとカスタマージャーニーマップの違い
ここも非常に混同されやすいポイントです。
- カスタマージャーニー
→ 顧客の行動・心理の流れという考え方 - カスタマージャーニーマップ
→ その流れを整理・可視化した表現・設計図
つまり、
ジャーニー=考え方
マップ=まとめた形
という関係です。
マップは表や図で作られることが多いですが、
本質は「顧客の流れが分かる状態」にすること。
表や図は、そのための手段のひとつにすぎません。
まとめ
ここまでを整理すると、
- ファネル:人数や段階を見る
- AIDMA・AISAS:代表的な行動モデル
- カスタマージャーニー:顧客の体験の流れ
- ジャーニーマップ:それを整理した形
それぞれ役割が違うだけで、
優劣があるわけではありません。
違いを理解すると、
「どの場面で何を使うか」が自然に見えてきます。
カスタマージャーニーで見るのは「行動」だけではない

カスタマージャーニーというと、
「検索した」「比較した」「購入した」といった
目に見える行動だけを追えばいいと思われがちです。
ですが、それだけでは不十分です。
本当に重要なのは、
行動の裏にある思考や感情です。
行動・思考・感情をセットで考える
人は、理由もなく行動することはほとんどありません。
たとえば、
- 行動:検索する
- 思考:「失敗したくない」「損したくない」
- 感情:不安・焦り・期待
この3つは、常にセットで動いています。
カスタマージャーニーでは、
- 何をしたか(行動)
- なぜそう考えたか(思考)
- そのときどう感じていたか(感情)
を一緒に捉えることが大切です。
行動だけを見ていると、
「なぜそこで止まったのか」が分かりません。
不安・迷い・期待が意思決定に与える影響
多くの場合、顧客が行動できない理由は
「情報不足」よりも感情的なブレーキです。
よくある例としては、
- 本当に自分に合っているか不安
- 失敗したらどうしようという恐れ
- 他にもっと良い選択肢がある気がする迷い
逆に、
- 「これなら自分にもできそう」
- 「同じ立場の人がうまくいっている」
と感じた瞬間、行動は一気に進みます。
タッチポイント(接点)という考え方
ここで出てくるのが、
タッチポイント(接点)という考え方です。
タッチポイントとは、
- 検索結果
- ブログ記事
- SNS投稿
- 口コミ
- メール
- 商品ページ
など、顧客が情報に触れるすべての場所を指します。
重要なのは、
- どのタッチポイントで
- どんな感情が生まれ
- 次の行動につながったか
をセットで考えることです。
同じ情報でも、
タイミングや文脈が違えば、
受け取られ方は大きく変わります。
まとめ
カスタマージャーニーで見るべきなのは、
- 行動だけでなく
- 思考と感情
- そして接点(タッチポイント)
この3つの組み合わせです。
これが見えてくると、
- なぜ離脱が起きるのか
- どこで不安を減らせばいいのか
が、自然に分かるようになります。
有名な購買行動モデルとカスタマージャーニーの関係

ここまでで、
カスタマージャーニーが「顧客の行動と心理の流れ」を見る考え方だ、
ということは分かってきたと思います。
では、よく聞く
AIDMA・AISAS・5Aモデルと、
カスタマージャーニーはどんな関係にあるのでしょうか。
ここでは、位置づけの違いを整理します。
AIDMA・AISASはカスタマージャーニーの原型
AIDMAやAISASは、
「人はだいたいこういう流れで商品を買うよね」
という典型的な購買パターンを示したモデルです。
- AIDMA
認知 → 興味 → 欲求 → 記憶 → 行動 - AISAS
認知 → 興味 → 検索 → 行動 → 共有
これらは、
カスタマージャーニーの**原型(ベース)**と考えることができます。
ただし、注意点があります。
5Aモデルが示す「購入後」までの流れ
5Aモデルは、
AIDMA・AISASをさらに発展させた考え方です。
- Aware(認知)
- Appeal(魅力を感じる)
- Ask(調べる・相談する)
- Act(行動する)
- Advocate(推奨する)
ここで重要なのは、
購入後の行動(推奨・口コミ)まで含めている点です。
カスタマージャーニーも同じく、
- 買ったら終わり
ではなく、 - 使ってどう感じたか
- 他人に勧めるかどうか
までを含めて考えます。
ファネルからジャーニーへ進化した理由
昔のマーケティングでは、
ファネル(漏斗)の考え方が主流でした。
- 上から人を集め
- 下に向かって絞り込む
という、一直線の流れです。
しかし現実の顧客は、
- 途中で戻る
- 比較し直す
- しばらく考えて何もしない
といった動きをします。
この非直線的な行動を捉えるために、
ファネルだけでは足りなくなりました。
そこで登場したのが、
カスタマージャーニーです。
まとめ
- AIDMA・AISASは購買行動の基本モデル
- 5Aモデルは購入後まで含めた発展形
- カスタマージャーニーは、それらを個別・具体的に描く考え方
つまり、
行動モデルは「地図記号」
カスタマージャーニーは「実際の道のり」
この関係性です。
カスタマージャーニーは「頑張る前に考える」ための道具

カスタマージャーニーは、
「施策を増やすためのフレームワーク」ではありません。
本来の役割は、
頑張る前に立ち止まって考えるための道具です。
闇雲な施策が失敗しやすい理由
よくある失敗パターンは次のようなものです。
- とりあえず情報量を増やす
- 記事数を増やせば何とかなると思う
- SNSをもっと頑張れば届くはずだと考える
これらは一見、正しい努力に見えますが、
顧客の状況を無視した行動になりがちです。
顧客が、
- どこで迷っているのか
- 何が分からないのか
が分からないままでは、
どれだけ頑張っても空振りになりやすいのです。
顧客の流れを整理すると判断が変わる
カスタマージャーニーで顧客の流れを整理すると、
見え方が大きく変わります。
たとえば、
- 問題は「集客」ではなく「比較段階」だった
- 記事数ではなく「安心材料」が足りなかった
- 説明不足より「不安の放置」が原因だった
といった具合に、
やるべきことが絞られてくるのです。
施策・コンテンツ作成の前に役立つ視点
ブログやマーケティングにおいて、
カスタマージャーニーはこんな場面で役立ちます。
- どの段階の読者向けの記事かを整理する
- 今作るべきコンテンツを判断する
- 優先順位をつける
たとえば、
- 認知段階の読者には「用語解説」
- 検討段階の読者には「比較・体験談」
といったように、
読者の状態に合った内容を選べるようになります。
まとめ
カスタマージャーニーは、
- 行動を増やすためのものではなく
- 判断を間違えないためのもの
です。
「何を頑張るか」を決める前に、
「どこで詰まっているか」を考える。
そのための視点として、
カスタマージャーニーは非常に有効です。
3C・SWOT・5Forcesとカスタマージャーニーの役割の違い

マーケティングを学んでいると、
3C分析・SWOT分析・5Forces分析といったフレームワークに出会います。
ここで多くの人が疑問に思うのが、
「カスタマージャーニーと何が違うの?」
「どれを使えばいいの?」
という点です。
結論から言うと、
見ている対象がまったく違います。
3C・SWOT・5Forcesは「環境・構造」を見る分析
まず、3C・SWOT・5Forcesの共通点から整理します。
これらはすべて、
- 市場はどうなっているか
- 競合は強いか
- 自分たちはどこに立っているか
といった、外部・内部の構造を見るための分析です。
簡単に言うと、
- 3C分析:
市場(Customer)・競合(Competitor)・自社(Company)の関係を見る - SWOT分析:
強み・弱み・機会・脅威を整理する - 5Forces分析:
業界の厳しさや勝ちにくさを見る
カスタマージャーニーは「顧客の頭の中」を見る分析
一方、カスタマージャーニーが見ているのは、
- 顧客は何を考えているか
- どこで迷っているか
- なぜ行動しないのか
といった、顧客の内側のプロセスです。
同じ「Customer」という言葉が入っていても、
- 3CのCustomer:市場・属性・ニーズ
- ジャーニーのCustomer:一人の人間の判断の流れ
という違いがあります。
組み合わせると戦略の精度が上がる理由
実務では、どれか一つだけを使うより、
役割を分けて組み合わせるのが効果的です。
おすすめの流れは次の通りです。
- 3C・5Forcesで
→ 戦える市場かを確認する - SWOTで
→ 自分たちの立ち位置を整理する - カスタマージャーニーで
→ 顧客がどう判断するかを理解する
こうすると、
- 無理な勝負を避けられる
- 顧客に合わない施策を減らせる
- 「頑張る場所」を間違えにくくなる
というメリットがあります。
まとめ
- 3C・SWOT・5Forces:環境と構造を見る
- カスタマージャーニー:顧客の判断の流れを見る
どちらが正しい、ではなく
見る角度が違うだけです。
だからこそ、
組み合わせることで判断の精度が上がります。



まとめ|カスタマージャーニーは顧客理解の全体像をつかむ考え方

ここまで読んで、
「カスタマージャーニーが何をするためのものか」
が、かなりはっきりしてきたと思います。
最後に、全体を整理しながら要点をまとめます。
カスタマージャーニーの本質を一言で整理
カスタマージャーニーの本質は、とてもシンプルです。
顧客が、どんな順番で、何を考え、どう判断しているかを理解すること
テクニックでも、流行りの施策でもなく、
「顧客の立場で物事を見るための視点」が中心にあります。
- 売る側の都合ではなく
- 選ぶ側の現実を見る
この姿勢そのものが、カスタマージャーニーです。
初心者がまず意識すべきポイント
初心者のうちは、
完璧なジャーニーマップを作る必要はありません。
まずは、次の3点だけ意識してください。
- 行動だけでなく、思考と感情を見る
- 「なぜ止まるのか」「なぜ迷うのか」を考える
- 頭の中で流れをつかめればOK(表や図は後回しでいい)
これができるだけで、
- コンテンツの方向性
- 施策の優先順位
がブレにくくなります。
次に学ぶならカスタマージャーニーマップがおすすめ
カスタマージャーニーを理解した次の一歩として、
カスタマージャーニーマップを学ぶのは、とても自然な流れです。
理由はシンプルで、
- ジャーニー:考え方・視点
- ジャーニーマップ:それを使える形にしたもの
だからです。
マップにすると、
- どこで不安が大きいか
- どこで情報が足りないか
- どこを改善すべきか
が一目で分かるようになります。
ただし、何度もお伝えしている通り、
最初から表や図にこだわる必要はありません。
- 文章
- 箇条書き
- ラフなメモ
でも、顧客の流れが整理できていれば、
それは立派な「マップ」です。

この記事の締めとして
カスタマージャーニーは、
頑張る前に「どこで迷われているのか」を考えるための道具です。
顧客の頭の中の流れが見えるようになると、
やるべきことは自然と絞られてきます。

