「今日はなんでこんなテンションが低いのだろう?」
そんな疑問を感じたことはありませんか?
・朝から気分が重い
・やる気が出ない
・小さなことが気になる
・不安や反省が止まらない
こんな“気分の波”は、多くの人に当てはまるはずです。
本記事では、テンションが低くなる心理学的な理由と対策を解説します。
ぜひ最後まで読んでくださいね。
テンションの波が生まれる理由

「今日はなんか気分が上がらない」
そんな日は、ほとんどの人が経験するはず。
テンションが下がる日は“誰にでも起きる、ごく自然な現象” です。
ここでは、その理由を分かりやすく解説していきます。
気分は一定ではなく“感情サイクル”として揺れ動く
人間の気分は、ロボットのように一定ではありません。
むしろ、波のように揺れ動くのがデフォルトです。
感情は、
- 上がったり
- 下がったり
- 落ち着いたり
を繰り返す「サイクル(周期)」になっています。
これは、
気分=身体の状態+脳の反応+環境
で決まるため、常に微妙な変化が起きているからです。
睡眠・血糖値・気圧などの“ちょっとした変化”でテンションは下がる
気分は意外と「小さな要因」で簡単に揺れます。
具体的には:
- 睡眠の質が悪い
- 朝の血糖値が不安定
- 気圧が低い(雨・曇り)
- 体の緊張が取れていない
- 昨日の疲れが残っている
- ビタミン不足
- 軽い脱水
こうした 微細な身体の変化 が、
そのまま「気分の落ち込み」として表れます。
つまり、
“なんとなくテンションが低い”の裏には、身体的な理由があることが多い。
それは全く異常ではありません。
「何もしてないのにしんどい」は脳の正常反応
多くの人が誤解しやすいのがこれ。
「何もしてないのに疲れた…なんで?」
実はこれ、
脳があなたを守るために“防御モード”に入ったサインです。
脳が疲れていると、
- 思考を止める
- 体を休ませようとする
- やる気システムを停止する
といった働きが自動的に起こります。
これは 故障ではなくシステムの安全装置。
疲労を回避するための“正常な反応”です。
まずは「落ち込みを異常扱いしない」ことが大前提
気分の波を悪化させる最大の原因は、
実は 「落ち込んじゃダメ」「弱い自分はダメだ」 という自己否定です。
落ち込み自体よりも、
- 否定する
- 抵抗する
- 責める
- 比較する
こうした“二次的反応”のほうが気分を重くします。
最初にやるべきことはただ一つ。
「今日テンション低いな。まあ、そういう日もある」
この“受け入れ”だけで、気分の波は大きく変わります。
ネガティビティ・バイアス|人はネガティブに寄りやすい脳をもっている

心理学では、
人間は“ネガティブに寄りやすい脳”を生まれつき持っている
と説明されています。
これを ネガティビティ・バイアス(Negativity Bias) といいます。
小さなミスを大きく感じるのは脳の生存本能
ネガティビティ・バイアスとは、
ポジティブな出来事より、ネガティブな出来事のほうが強く心に残る脳のクセ のこと。
たとえば:
- 10人に褒められても、1人に否定されると気になる
- 小さな失敗ほど思い出して落ち込む
- 良いことより悪いことが記憶に刺さる
こういった反応は、すべて脳の“生存モード”です。
昔の人間は、
「危険(ネガティブ)」を強く記憶できた個体が生き残りました。
その反応が今も残っているだけなので、
落ち込みや不安が強く出るのは、故障ではなく人類共通の仕様。
悪い未来のほうがリアルに感じる理由
ネガティビティ・バイアスは未来予測にも影響します。
- 失敗の未来は明確に想像できる
- 上手くいく未来はぼんやりしている
- 悪い予感のほうが“本当に起きそう”に感じる
これは、
脳が「最悪のケース」を想定しておくほうが安全だった
という進化の名残と言われています。
だから、
テンションが低いときに悪い予想ばかり浮かぶのは普通。
人間のデフォルト設定は“ネガティブ寄り”
心理学的には、脳はもともと、
- ポジティブ:弱い
- ネガティブ:強い
というアンバランスな構造です。
つまり “テンションが落ちやすい”は、脳の初期設定のままの姿 なのです。

理由もなく“鬱っぽく”なるのはなぜ?|脳の防御反応と心理メカニズム

「特に何もしていないのに、今日はやけにしんどい」
「理由が分からず気分が重い…」
こういう“原因不明の落ち込み”は、決して珍しいものではありません。
心理学的には、これは 脳があなたを守ろうとしているサイン です。
ここでは、代表的な4つのメカニズムを解説します。
①扁桃体の過活動:不安が強く出やすい脳タイプ
脳の中には、扁桃体(へんとうたい) という“警報機”があります。
- 危険を察知する
- 不安・恐怖を感じる
- 気分を沈めて警戒を高める
こういう働きを担当している部分です。
扁桃体が敏感な人は、
- 情報を“脅威”として受け取りやすい
- 気分の落ち込みや不安反応が強めに出る
- 理由がなくても「なんとなく不安」になりやすい
という特徴があります。
これは体質に近く、性格とは別物。
悪い意味ではなく、“感受性が高い脳”というだけです。

②朝の落ち込み・夕方のだるさと“日内リズム”
多くの人が経験する
- 朝だけしんどい
- 昼に回復してきて
- 夕方にまただるい
という流れ。
これは 日内リズム(体内時計) による正常な変動です。
特に朝は、
- コルチゾール(ストレスホルモン)の上昇
- 血糖値の乱れ
- 睡眠の質の影響
などが重なり、気分が落ち込みやすくなります。
「朝だけ鬱っぽい」は よくある反応 であり、
それだけで深刻に捉える必要はまったくありません。
②ストレス蓄積で脳が“省エネモード”に入る
ストレスが溜まると、脳は
「ちょっと休ませて!」
というメッセージとして、“動けなさ”を作り出します。
これは、
- 気力の低下
- 無気力
- いつものことが面倒
- 楽しいことにも乗れない
といった形で出ます。
この“やる気が出ない”状態こそ、
脳がエネルギーを節約している証拠。
つまり “壊れている”のではなく、むしろ壊れないための防御反応 です。

③ 一時的な無気力はほとんどが“自然回復”する
私たちは落ち込むと、
「頑張れない自分は駄目だ」
と自己嫌悪に陥りがちです。
しかし、
気分の落ち込みは“ほとんどが一時的”で自然回復します
特に原因が分からない日は
- 寝不足
- 気圧
- 栄養
- 疲労
- 体調
などの“微細な変化”が重なっているだけ。
一時的な落ち込みは、
身体と脳のメンテナンスモード
自分の今の状況を冷静に受け入れて対応することが大切です。
感情を抑えるほど落ち込む理由|情動制御モデル(Gross)

ネガティブ感情に飲まれると、多くの人はつい
- 「こんな気分になりたくない」
- 「早く切り替えなきゃ」
- 「落ち込んでる場合じゃない」
と“押し込めよう”としてしまいます。
しかし心理学では、感情を押し込むほど強くなる ことが分かっています。
これを裏付ける代表的な理論が、グロス(Gross)の情動制御モデル です。
以下では、初心者でも分かるようポイントをかみ砕いて説明します。
ネガティブを押し込むほど強くなる“逆説の罠”
Grossが示したのは次のシンプルな事実です。
感情は抑えようとすると、むしろ増幅する
これは「白クマ実験」と同じ仕組みです。
「白クマのことを考えないでください」と言われると
逆に白クマのことばかり考えてしまう。
感情も同じで、
- 不安を抑えようとすると、不安の“監視”が始まる
- 落ち込みを否定すると、「落ち込んでないよな?」と常にチェックする
- 我慢・抑圧・気持ちの切り替えの強要ほど逆効果
となり、結果として感情の存在感が増すのです。
完璧主義ほど落ち込みやすい科学的理由
完璧主義の人は、
- ネガティブ感情は悪だ
- 気持ちはコントロールすべきだ
- 落ち込む自分はダメだ
という“感情に対する厳しい信念”をもっていることが多いです。
すると、感情が生まれた瞬間に
「こんな気分になるなんておかしい」
「ちゃんとしなきゃ」
と自己攻撃が始まり、落ち込みを倍増させます。
心理学ではこれを “二次感情(secondary emotion)” と呼びます。
- 一次感情:疲れ・不安・落ち込みなど自然な反応
- 二次感情:「こんな自分はダメ」と自分を責める反応
落ち込みを強くするのは、一次ではなく二次感情の方なのです。
感情否定 → 落ち込み増幅の悪循環
感情を抑えると体と脳が緊張し、以下の悪循環が始まります。
- ネガティブを感じる
- それを否定する
- 否定がストレスになる
- ストレスでさらに感情が強まる
- また否定する
- 感情がループして増幅
これにより、
- 気分の落ち込みが長引く
- 思考がぐるぐる止まらない
- 小さな不調が大きく感じる
- 自己嫌悪が強まる
という“感情と戦う悪循環”が続きます。
“感じてもいい”と許可すると自然に落ち着く
情動制御モデルで示されている結論は、とてもシンプルです。
感情は戦うほど暴れ、許した瞬間に弱まる。
受容とは“我慢”や“諦め”ではなく、
- 「こう感じている自分も自然」
- 「この気分があっても、生きていて問題ない」
- 「放っておけば波のように変わる」
と感情にスペースを与えること。
すると、脳の警戒モードが下がり、
扁桃体(不安) → 前頭前野(落ち着き)にバトンが渡るため、
自然と気分が軽くなります。

感情は“波”のように勝手に変化する
心理学・神経科学では、感情は次のように循環することが分かっています。
- 立ち上がり(trigger)
- ピーク(peak)
- 低下(decay)
- 消失(fade)
このサイクルは 数分〜数時間 が平均です。
落ち込みも、「ずっと続く」ことはほとんどありません。
日常的な気分の落ち込みは、波のように自然に変化します。
ただし、数週間以上続く落ち込みは、うつ病など別の状態の可能性があるため、注意が必要です。
「今だけの気分」と理解すると気分は軽くなる
つらい気分は“今だけの状態”であり、未来は別の感情になる。
この理解をもつだけで、
- 「この気分は永続しない」
- 「脳が錯覚しているだけ」
- 「数時間後には別の感情が来る」
と認識できるはずです。
これは気分に振り回されない第一歩です。
落ち込みやすさは個人差が大きい|体質・性格・脳の違い
「同じ出来事でも落ち込みやすい人と、あまり気にしない人がいる」
これは、脳・性格・体質の個人差が大きく関わっています。
落ち込みやすい人には共通する“科学的背景”があります。
逆に言えば、「自分のせい」ではありません。
扁桃体が敏感な人は気分が揺れやすい
扁桃体(へんとうたい)とは、
不安・恐怖など“危険を察知する脳の警報機”のこと。
扁桃体がもともと敏感なタイプの人は、
- 悪い予感をしやすい
- 小さな人間関係の変化に反応しやすい
- SNSのちょっとした言葉で気分が揺れる
- 予定の変化にストレスを感じやすい
など、日常の刺激に反応しすぎて気分の波が大きくなる傾向があります。
これは、脳の配線のくせです。

神経症傾向(ビッグファイブ)と気分の波
心理学の代表的性格モデル「ビッグファイブ」では、
神経症傾向(Neuroticism)が高いほど、気分が揺れやすいことが分かっています。
神経症傾向が高い人は、
- 心配しやすい
- 反省しすぎる
- 不安になりやすい
- 感情の変動が大きい
- 人の目が気になる
など“情緒の敏感さ”が特徴。
これも才能の一種で、
繊細さ・共感力・慎重さとしてプラスに働く場面も多いです。
反芻(ぐるぐる思考)が強い人は落ち込みやすい
落ち込んだ気持ちが強くなる原因として
心理学でよく出てくるのが 反芻(はんすう)思考。
「なんであんなこと言っちゃったんだろう…」
「嫌われていたらどうしよう…」
「うまくいかない未来ばかり考えてしまう…」
このように“同じ考えを繰り返すクセ”があると、
ネガティブ感情を維持し続けてしまうため、落ち込みやすくなります。
これは脳の「安全確認」をする本能でもあり、
止めようとしても勝手に発動します。
睡眠・血糖値・体質など身体の個人差もある
気分の落ち込みは身体の状態と関連しています。
- 睡眠の浅さ → 気分の波が大きくなる
- 血糖値の乱高下 → イライラ・無気力
- 鉄分・ビタミン不足 → 疲れやすくなる
- ホルモンバランス → 特に朝と夕方の落差
- 遺伝的気質(気分の安定しやすさ)
自分の“体質の癖”を知っておくと楽になる
気分が落ちやすい時間帯や、疲れやすい状況には人それぞれのパターンがあります。
それを把握しておくだけでも、「あ、いまは自分の体のクセが出ているだけだな」と受け止めやすくなります。
今日からできる|テンションが下がった日の具体的対処法
テンションが下がった日は、
気合でどうにかしようとすると逆効果になることがあります。
大切なのは、
「無理に上げる」ではなく「悪化させない」こと。
そのうえで、身体・思考・行動の3方向から軽く整えていくのが効果的です。
“受容”で悪化を防ぐ:感情を否定しない
一番ダメージを増やすのは、
「落ち込んではいけない」という自己批判。
心理学では 受容(Acceptance) が効果的とされています。
- 「今日はテンション低い日か」
- 「今は気分が落ちてるけど、それも波のひとつ」
- 「この気分もやがて変化する」
ポイントは、
“気分=自分の価値”と結びつけないこと。
反芻を止める:注意を外に切り替える
落ち込んだ気分を重くする最大の原因は、
反芻(ぐるぐる思考)。
「なんであんな失敗したんだ」
「明日もうまくいかないかもしれない」
「嫌われているかもしれない」
こうした思考は、自分で止めようと思っても止まりません。
そこで役立つのが 注意切り替え(Attention Shift)。
簡単にできる方法は:
- 外に5〜10分散歩
- コーヒーを淹れるという「動作」に集中
- 水を飲む
- 部屋の換気をして空気を入れ替える
- 小さな片付けを1つだけやる
脳は「外部刺激」を受けると、勝手に反芻モードを中断します。
身体から整える:睡眠・光・血糖のリセット
気分は 身体の状態と直結しています。
特に効果が大きいのは次の3つ。
① 光を浴びる(セロトニン活性)
カーテンを開ける・外に出るだけでOK。
曇りでも効果あり。
② 血糖を安定させる(低血糖は不安を増やす)
- バナナ
- ナッツ
- オートミール
- 少量の炭水化物
など、“急に血糖が上がりすぎないもの”が良い。
③ 15〜30分の仮眠
眠気や脳疲労で落ち込みが強くなるため、短時間で回復。
気分に振り回されない“小さな行動”のコツ
テンションが下がった日は、
大きなタスクは重荷になります。
効果的なのは 超ミニ行動。
- 3分だけ作業
- メール1通だけ返す
- 洗い物を1つ片付ける
- ブログなら見出し1つだけ作る
「やる気 → 行動」ではなく
行動が“やる気”を呼ぶのが脳のしくみだからです。
気分の波が“普通なのか・注意サインなのか”を見分ける
テンションが下がるのは“脳の仕様”。
だからこそ、「これは普通の波なのか?」
それとも 「注意すべきサインなのか?」 を見分けることが大切です。
気分の落ち込みは “強さ”ではなく “続く長さ” が重要な指標になります。
数時間〜数日:正常な気分の谷
次のような落ち込みは完全に正常です。
- 朝はテンションが低いけど、昼〜夕方に回復
- 寝たら翌日には戻る
- 軽い休息で自然に切り替わる
- 気分の理由がよく分からないけど回復する
- 生理/気圧/睡眠不足などの影響で数日揺れる
これは “気分の波” の範囲であり、
ほぼ全員が経験する自然な変動です。
数週間:ストレス・睡眠問題の可能性
もし落ち込みが 2〜4週間続く場合、
次のような要因が積み重なっている可能性があります。
- 慢性的な仕事のストレス
- 家族/人間関係の負荷
- 睡眠障害(浅い睡眠・中途覚醒)
- バーンアウト(燃え尽き)
- 栄養不足や血糖値の乱れ
- 運動不足による自律神経の乱れ
この段階では、
生活リズムと環境の調整を強めに行う必要があります。
ただし、ここでも「人生終わった」などと考える必要はありません。
単に、脳と身体がオーバーヒートしているだけの場合がほとんどです。
1ヶ月以上+生活に支障:専門家レベル
次の条件が揃う場合は、
専門家(心療内科・カウンセラー)への相談も検討してみてください。
- 1ヶ月以上、落ち込みが続く
- 仕事/日常生活に明確な支障が出始める
- 朝が特に動けない日が続く
- 食欲・睡眠リズムが崩れたまま
- 希死念慮がある
- 外出が著しく難しくなる
- 何も楽しめない状態が続く
まとめ|テンションが低い日のおすすめの過ごし方
気分の波は自然なものなので、まずは 「今日はそういう日だな」 と認めるところから始めましょう。
テンションが低い日は、次の4つを意識するとラクになります。
① がんばらないで“省エネモード”で過ごす
やることを最小限にし、必要以上に自分を責めないようにします。
家事も仕事も、完璧ではなく“とりあえず” を基準に。
② 気分を否定しない(受容の第一歩)
「ダメだ」「なんで落ち込むんだろう」と考えると、さらに落ち込みます。
“落ちこんでもいい” と許可するだけで気分は軽くなります。
③ 身体から整える(即効性が高い)
気分は身体の状態に大きく影響されます。
特に以下は効果が出やすい習慣です:
- 太陽光を浴びる
- 深呼吸やストレッチをする
- 温かい飲み物で身体をゆるめる
- 血糖値を安定させる軽食をとる
④ ちょっとした“気分転換”を入れる
本格的な対処はできなくても、1〜5分の短い気分転換はできます。
- 散歩
- 部屋の空気を入れ替える
- 好きな音楽を流す
